リアルとフェイクの狭間で - 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』

1942年、ロサンゼルス上空で発光する謎の飛行物体25機を空軍のレーダーがとらえる。その後もブエノスアイレスやソウル、ロンドンでも未知の飛行体が目撃されたが、その真相は不明だった。そして2011年、これまで世界各国で確認されたUFO事件を通して人類を監視してきたエイリアンたちがついに侵略を開始し、ロサンゼルスで海兵隊と市街戦を繰り広げる。


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川崎で『世界侵略:ロサンゼルス決戦』観ましたが、私にはまったく合わない映画でした。事前情報は極力入れずに鑑賞したので、帰ってから調べたらこんなことが書いてありました。

監督のジョナサン・リーベスマンのよると、本作は戦争映画のスタイルでエイリアン侵略を描くため、『ブラックホーク・ダウン』、『プライベート・ライアン』、『ユナイテッド93』からインスピレーションを得ているという。またリーベスマンは、映画の外観のためにファルージャで戦う海兵隊YouTubeビデオからインスピレーションを得た。

世界侵略: ロサンゼルス決戦 - Wikipedia


この情報の真意はさておき、確かに全編『ブラックホーク・ダウン』っぽい映像だとは思いましたが、「表面だけマネして中身が空っぽ」と感じました。『ブラック〜』や『プライベート・ライアン』が観てる間中、胃がキリキリ痛むような感じがするのに対して、本作の登場人物からは絶望的な状況であるにもかかわらず絶望感がまったく感じられないからです。


いくつか理由はあると思いますが、やっぱりドラマパートがあまりにも薄っぺらくて、まるで海軍の素晴らしさを説くコマーシャル映像にしか見えないことが大きいです。パロディ要素が無い『スターシップ・トゥルーパーズ』みたいと思いましたし、順序は逆ですけど、『マーズ・アタック』は本作のパロディとも感じました。


戦闘シーンのリアリティについては素晴らしくよくできていると思うんですが、登場人物の行動にはリアルをまったく感じられませんでした。例えば『ゾンビ』の冒頭で、本来無敵なハズの特殊部隊チームが地獄のような状況を目の当たりにして、錯乱して自殺したり、とっととヘリで逃げだしたりするのは非常にリアルを感じます。


つまり戦闘シーンはリアルなのに、登場人物の行動にリアルを感じられないことが、バランスが悪く違和感を感じる原因ではないかと思いました。これが『インディペンデンス・デイ』だったら、どっちもリアリティないので笑って楽しめるんですよね。とりあえず「YouTubeビデオからインスピレーション」とか言ってる時点で、リアルな海兵隊員の本音みたいなのを描く気がさらさらないのは分かりました。


リアルといえば、本作と似たような設定の映画である『スカイライン』。私はあのラストシーンについては否定派ですが、そこに至るまでの登場人物たちの右往左往っぷりはとてもリアルで楽しめました。


結局、劇場で観ておきながら、戦争シューティングゲームをやる友人のプレイを横で延々観ているような感覚になりました。最初の20分くらいは「おースゲー!」とか言いながら楽しめても、途中からどうでもよくなっちゃうあの感じ。後半は「こいつら全員死なねーかな」とずっと呪いをかけながらの鑑賞となりました。元々こういうゲームが好きな人には向いてるのかもしれません。そういう方にオススメ。


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