第1回アナ・トレント『ミツバチのささやき』

映画の子役について書くシリーズ「えいがとこども」。第1回は『ミツバチのささやき』のアナ・トレントです。



アナ・トレントは1966年生まれ。ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』では、フランケンシュタインや精霊を信じる無垢な6歳の少女「アナ」を演じて世界中で絶賛されました。あのクリクリとした大きな瞳で見つめられたら、やってもいない罪でも白状しそうになります。かのジム・ジャームッシュも「アナが大きくなったら結婚する」と言ってました。




ミツバチのささやき』撮影時は役と同じ6歳。映画のアナは、現実と映画の世界の区別があまりついていない少女でしたが、アナ本人も映画の撮影というものがあまり理解できていなかったようで、フランケンシュタインのメイクをした役者のことを本物だと思っていたそうです。か、かわいい…。


彼女は今でもスペインで女優をしていて今年で45歳です。2003年の「サン・セバスチャン映画祭」では、アナを起用した『ミツバチのささやき』をモチーフにしたポスターが作られました。これが30年後のアナです。お美しい!



↓こちらがオリジナル


そして、つい最近ビクトル・エリセ監督とアナのコンビの最新作が発表されました。それが311の震災をテーマに21の短編映画で構成された「3・11 ア・センス・オブ・ホーム・フィルムズ」の1本『アナ、3分』です。ここでは大人になったアナがストレートに原発に対する批判的なメッセージを述べています。


↓アナ、3分

「広島に原爆が落ちて66年目。震災とは全く別物だけど同じ国の惨事なの」

「今も新しい原発が建設されている。これでは地球が疲弊してしまうわ」

「私は感じるの。私たちを見つめる死者たちの問いかけを…」

エリセ監督の代弁者として原発依存社会への意義を語り続けた女優は、アナ・トレント(45)だ。6歳のとき、監督の長編デビュー作「ミツバチのささやき」に主演し、愛くるしい瞳で観客を魅了した。

ねこねこブログ : 「ミツバチのささやき」ビクトル・エリセとアナ・トレントのコンビの反原発映画「アナ、3分」見てみたいですね…。 - livedoor Blog(ブログ)


思えば『ミツバチのささやき』もスペイン内戦によって、心に傷を持った家族が舞台となっていました。今ふたたび、アナの瞳に見つめられた人々は何を思うのでしょうか?