猿と人、表裏一体 - 『猿の惑星:創世記』

現代のサンフランシスコ。高い知能を持つ猿のシーザーは人類に裏切られ、自分の仲間である猿を率い、自由のために人類との戦いに向けて立ち上がることに。人類のごう慢さが、猿の知能を発達させてしまう要因となり、人類にとって最大の危機を巻き起こしていく。


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渋谷で『猿の惑星:創世記』をみました。超面白かった!


私自身は過去作の『猿の惑星』は1作目と、ティム・バートン版しか観ていないので、あまりこのシリーズに詳しくはないのですが、本作は72年の『猿の惑星・征服』を下敷きにしているそうです。『〜征服』は、1作目に出ていたコーネリアスの息子のシーザーが、人間に対して反乱を起こすというストーリーで、本作で反乱を起こすチンパンジーも同じく「シーザー」という名でした。


ただし、それ以上に1作目の影響を強く反映してるように感じたので本作を観た帰りに1作目のBlu-rayを購入し見直しました。すると想像以上に、1作目の「裏返し」となっていたことが分かりました。


例えば、シーザーの母親は研究所で「ブライト・アイズ」というニックネームで呼ばれています。これは1作目で猿の科学者ジーラが宇宙飛行士役のチャールトン・ヘストンにつけたニックネームでした。


中盤、シーザーはとある理由で保健所の檻に閉じ込められ、意地悪な監視員にホースで水をかけられます。これも1作目でチャールトン・ヘストンが猿たちから同じことをされられてました。


また、シーザーの胸には生まれつきアザがあって、このアザについては劇中ほとんど触れられません。なので、他の猿たちと見分けをつける為で特に意味はないのかと思っていたのですが、1作目でやはりチャールトン・ヘストンが猿たちに同じ箇所を火で押しつけられてアザになるシーンがありました。




他にも色々あるのですがネタバレになりそうなので控えます。とにかく本作で人類側がシーザーに対して行ったことは、約2000年後の遥か未来でチャールトン・ヘストンへのしっぺ返しとなったようです。カオス理論もびっくりですね!


それはともかく、本作におけるシーザーら猿たちの目力は素晴らしかった。シーザーが保健所で他の猿たちと出会うシーンは(当然ながら)会話がないにも関わらず、表情や態度のみで観客をぐいぐい引っ張っていきました。あそこは『WALL・E』の前半くらい良かったです。


また、結果として全ての元凶となってしまうウィルスが、皮肉にも元々は愛する者を救おうとする気持ちから作られたという設定が泣けました。「泣ける映画」という前評判に偽りなし(泣いてないけど)。オススメです。


(オマケ)オフィシャルか分からないバンクシー風ポスター。