ライミ・サムのすべらない話-『スペル』
ライバルに勝ち、銀行で昇進したいクリスティン・ブラウン(アリソン・ローマン)は、上司に仕事ができることをアピールする必要に迫られていた。そこへ、ジプシー風の老人(ローナ・レイヴァー)が不動産ローンの延長願いを申し出る。クリスティンが拒否すると、老人は態度を豹変。敵意をあらわにし、クリスティンに飛びかかる。
『人志松本のすべらない話』はネタ自体はありふれた題材であっても、それを語り部がいかに面白く話すか、という話芸を見せる番組だと認識している(実はキチンと見たことがないので違ってたらごめん)。
『スペル』のストーリーは単純だ。id:Dirk_Digglerさんも書いてたようにプロット自体はキングの『痩せゆく男』と同じだし、探せば似たような映画はいっぱいあるだろう。そういうざっくりとした「ありふれた話」をいかに面白くするかが語り部(=監督)であるサム・ライミの力量なわけだ。
そんなライミさんは今でこそ『スパイダーマン』シリーズの巨匠であるが、かつては『死霊のはらわた』シリーズという「これぞB級映画!」という作品を世に出した方である。映画業界のことはよく知らないが、ジェームズ・キャメロンが『殺人魚フライングキラー』の続編じゃなく『タイタニック』や『アバター』という超大作しか撮らないように、一度巨匠になった人が再びB級作品を撮るといったことはフツーできない(しない)。
しかしライミは『スペル』を作った。ありふれたストーリーでスター俳優も出ないし低予算でしかもバカという典型的なB級ホラー映画だ。失敗するリスクはそれなりにあったハズだが、結果的には全ての見せ場が「すべらない」という奇跡的な映画になった。怖くて笑えてそして面白いという夢のような「A級のB級ホラー映画」。かつて『死霊のはらわた』に熱狂した1人としてこの結果を素直に喜びたい。
こうなると期待したいのはピーター・ジャクソンのB級復帰だね。ぜひ『スペル』観て「オレもこういうの作りてぇ!」とか思って欲しいモノです。
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