Naked City / Black Box

Black Box [Torture Garden/Leng Tch'e]

Black Box [Torture Garden/Leng Tch'e]


ジョン・ゾーンについて-THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACRE


↑こちらに書いたCDが届いたので取り急ぎレビュー。


「Black Box」は「Torture Garden(拷問天国)」と「Leng Tch'e」をカップリングした2枚組。前者は「42曲26分」で後者は「1曲32分」(極端なんだよ...)。


お目当てだった「Torture Garden(拷問天国)」は思っていた以上に聴きやすかった。単純なハードコア(グラインドコアってゆーんだっけ?)ではなく、まったく異なるジャンルの音楽(フリージャズ、ラウンジ、カントリー、ポップ等)が複雑に絡み合っていて、それらに加えて女性の悲鳴のようなジョン・ゾーンのサックスが大暴れしてて全然飽きない。初期のCold Cutのように様々なジャンルの音楽フレーズをサンプリングしまくって、闇鍋のごとくぐちゃぐちゃに再構築したものに似ている。ただし、こちらでは実際には全て演奏されてるのが凄い。


こういうアルバムを表現するのによく「狂気」という言葉が使われるけど、あんましそういう感じはしない。むしろ全て計算ずくでやってる冷静さを感じた。と、思ってたらジョン・ゾーンによるNaked Cityの曲は基本的に「譜面」があるらしい(!)。

以前、東京にて日本版 Naked City「Torture Garden」を見る機会が合った。参加者は、オリジナルメンバーのJohn Zorn(Sax),山塚アイ(Vo)をはじめ、今堀恒夫(g)、吉田達也(Ds)などそうそうたる面子。こうしたいわば「凄腕」ミュージシャンが、配られた譜面と"にらめっこ"しながら激烈なハードコアを演奏する様は大変面白かった。そのあまりにも複雑な曲故に「間違えたのでやり直し」などという場面も数回 (なんでも機械の故障音のような音まで譜面に書かれてるそうです)。

http://www4.plala.or.jp/ganqtan/Kagyu/kagyuu.html


...あり得ない。


曲名がいちいちかっちょいいのもポイント。

1. 血が薄い
2. 魔の聖域
3. スラッシュ・ジャズの刺客
4. 死角
5. ボーンヘッド
6. スピードボール
7. ブラッド・ダスター
8. パイルドライヴァー
9. シャン・クワン・リン・フォン
10. ナムスカ
11. 評論家を燃やせ~いい匂いさ
12. ジャズ・スノップ・イート・シット
13. 奇術師
14. 信じられるわけがない
15. ヘルレイザー
16. 拷問天国
17. スラン
18. ハマーヘッド
19. 締めつける
20. 絆
21. サック・オブ・シット
22. 純器
23. オーサカ・ボンデッヂ
24. 火の絶叫
25. 浅い墓
26. 雨雀
27. かおる
28. デッド・ドレッド
29. 嘘つきビリー
30. 拷問の犠牲者
31. スピードフリークス
32. ニュージャージー・スカム・スワンプ
33. SMスナイパー
34. 豚姦
35. カイロ・チョップ・ショップ
36. ファック・ザ・ファクツ
37. オベマー・マン
38. フェイスリフター
39. NYフラット・トップ・ボックス
40. むちうち
41. 刀
42. 痍のかたまり

もう1枚の「Leng Tch'e」は1曲のみで、正直何度も聴きたくなるものではない。タイトルの「Leng Tch'e」とは「凌遅(りょうち)」のコト。

凌遅刑(りょうちけい)とは、清の時代まで中国で行われた処刑の方法のひとつ。生身の人間の肉を少しずつ切り落とし、長時間苦痛を与えたうえで死に至らす刑。歴代中国王朝が科した刑罰の中でも最も重い刑とされ、反乱の首謀者などに科された。

凌遅刑 - Wikipedia


で、ジャケがこの「凌遅刑」(または凌遅処死)の実際の写真...。前回もちょっと書いたけど以前Toy's Factoryから日本盤も発売されていた。帯には

中国清朝で行われた、生きながらにして身体を切り刻まれ処刑される拷問『凌遅処死』は、1905年4月10日、北京で執行されたのを最期に地上より消滅した。本作に収録されたジョン・ゾーンの大作『LengTch’e』は、この極刑に捧げられている。


と、書かれてるそうだ。あり得ない...。


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うわああああ...。