ヤングトラウマ〜ひろ子・ドカベン・バムバータ〜

ヤングトラウマ~ひろ子・ドカベン・バムバータ~

ヤングトラウマ~ひろ子・ドカベン・バムバータ~


スチャダラパーの単行本「ヤングトラウマ〜ひろ子・ドカベン・バムバータ〜」を読みました。

ヤングトラウマ。略してヤントラ。それは多感な時期の僕たちが負ってしまった心の傷。いい意味で。ドリフ、ドカベン藤子不二雄、ベストテン、ファミコン、たけし、薬師丸ひろ子、宝島、有頂天、ガロ、みうらじゅん根本敬ビースティ・ボーイズ宮沢章夫…。昭和40年代生まれの僕たちはこんなヤントラを抱えて大人になった。スチャダラパー8年ぶりの単行本(余談本)。同世代ゲストを迎えてのヤントラ座談も必読。ゲスト:バッファロー吾郎小泉今日子宇多丸(RHYMESTER)。


90年代に古賀学さんが出していたフリーペーパー「PEPPER SHOP」では毎回クリエイターの「INPUT」(影響を受けたメディア)と「OUTPUT」(INPUTしたものを消化して世に出したもの)を並べる、というのが基本方針だった。その意味で、今作はスチャダラパーの「INPUT」を1冊の本にまとめたもの。


69年生まれでボーズと同じ年の自分にとってはほとんどのネタが「そーそー」「あった、あった」と相づちを打てるものばかりで終始楽しく読めました。逆に言えば現在10代の人が読んでも???だと思いますが。


ここに書かれていない自分自身のヤントラといえば「スチャダラパー登場」ってのがあったわけですよ。高校時代シンコと同じようにナゴムとかにハマりつつ、その後登場したメジャーフォースとかの新しい音楽に興味あったもののまったく別物と考えていたら、スチャダラパーいとうせいこうの登場でその2つが「繋がった!」と気がついたときの衝撃や感動は今でもよく覚えています。当時の宇田丸の「嫉妬」みたいなのもよく分かる。


スチャダラパーが凄いのは「INPUT」したものを自分達なりの解釈で「OUTPUT」しようとする姿勢が結成当初から現在までまったくブレていないこと。ビースティー・ボーイズに影響を受けてビースティーっぽい音楽を作るんじゃなくて、山田太一のドラマに影響を受けてそれをラップで表現する、ってのがHIP-HOPじゃんかなー。ソレを分かってない人が世の中に多過ぎる。ボーズが「自分たちに影響を受けたって言われるのはうれしいんだけど、それでできたものがソレなの?」って嘆く様もすごくよく分かる。


現時点で最新作「OUTPUT」であるアルバム「11」も聴いた(レンタルだけど)。今作はボケるヒマすらなくアンチテーゼの嵐。スチャダラパーはやっぱりブレてなかった。オススメ。


(追記)
「11」にBirdがゲストと知ったときは「なぜ?」と思ったが、これもみうらじゅん繋がり...(自粛)。



(参考)
Pepper Shop/ペッパーショップ » archives 1993-1996