大人にならなかったウェンディ-「永遠のこどもたち」
孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)は、長らく閉鎖されていたその孤児院を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建しようと夫のカルロス(フェルナンド・カヨ)、息子のシモン(ロジェール・プリンセプ)とともに移り住んでいた。だが、シモンは遊び相手のいない寂しさから空想上の友だちを作って遊ぶようになり、その姿にラウラは不安を覚える。そして入園希望者を集めたパーティーの日、シモンはこつ然と姿を消してしまい……。
ギレルモ・デル・トロプロデュースの本作。なぜかDVDスルーと思い込んでてあやうく見逃すところでした。
スペインの孤児院でスペイン版「だるまさんがころんだ」で遊ぶこどもたちのファーストショットとオープニング・クレジットの映像から素晴らしくて、一気に映画の世界へ。その後は「失踪した息子を必死に探す母親」を軸にしたサスペンス映画でありながら、次第に現実世界と非現実世界が入り乱れる(ダーク)ファンタジー風になっていき、さらに要所要所に絶妙なタイミングでショックシーン(一見、「見せない恐怖」を演出してるようで見せるトコロではしっかり見せる)を盛り込むという複雑な構成に脱帽。単純にホラー映画として捉えても先日見た「ミラーズ」よりも100倍怖かった。
孤児院が舞台ということでデル・トロの「デビルズ・バックボーン」みたいな内容を想像していたら、それよりもはるかにヘビーな内容でラストの展開に口アングリ。同じくラストが強烈だった「パンズ・ラビリンス」と比べると、こちらが「子どもの目線」で語られる映画だったのに対して、本作では「親の目線」で展開される。そしてその親も昔は「こども(孤児)」だった。
「ファインディング・ニモ」でも言及されたが、「どんなことがあっても私(親)がこどもを守る」という想いは時にあっけなく敗れ去ることがある。辛く重い現実をどのように受け止めるのか。その方法は人それぞれだ。様々な伏線(実は全てのセリフが伏線と言ってもいい)が一気に回収され迎える怒濤のエンディングに納得いかない人もいるかもしれないが、私には面白かった(号泣しました)。
原題は「EL ORFANATO」(孤児院)。こちらと比べても今回は邦題の方が優れてるかも。まだ1月終わってないのに「ファニー・ゲームUSA」と本作は2009年ベスト10入り間違いなし。オススメ。
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