あるマゾヒストの妄想-「ファニーゲームU.S.A.」


オフィシャルサイト

別荘で過ごすアン(ナオミ・ワッツ)とジョージ(ティム・ロス)夫妻のもとに、ポール(マイケル・ピット)とピーター(ブラディ・コーベット)と名乗る青年が訪れる。ふてぶてしい訪問者の態度に業を煮やしたジョージがポールのほほを平手打ちすると、突然二人の男は凶暴な顔を見せ、生死をかけたゲームをしようと告げるが……。

もしあなたがまだオリジナル版『ファニーゲーム』を観たことがないのなら、観ないままで劇場に足を運んだ方がいいだろう。
(中略)
カンヌで大騒ぎとなり、「史上最も不快な映画」とも呼ばれた『ファニーゲーム』は、いまや2本存在するのだ。
映画秘宝2009年1月号より


ヨシキ所長の忠告に素直に従いオリジナル版も観ずに情報をなるべくシャットアウトした状態で川崎チネチッタで観て来ました。

ちなみにこれが今年観た初の映画であり、気分的には2009年の個人的な映画運を占う「おみくじ」でもあったわけですが、結果は「大凶」と書かれた「大吉」でした!素晴らしかった!二度と観たくないけど。


私は変なクセがあって、それは「ある日突然自分にとんでもない不幸が訪れる」というシチュエーションを妄想すること。例えば、仕事から帰って来たら家族が殺されていた、とか。その時自分はどういう反応をするのか?叫び声はあげるのか?死体を触るのか?警察に電話する時に自宅の住所がスラスラ言えるのか?電話した後で死体を直視できるのか?とかを延々考えるのだ。我ながらマゾっぽいなぁと思う。


映画を観てる間、私は自分の妄想が画面に映ってるような気がしてならなかった。特に息子が×××した後の長い長いワンカットのシーン。そんな混乱した私を心配して「おい、これは映画だぞ!フィクションだぞ!」と「わざわざ」話しかけてくれるマイケル・ピット。映画のキャラクターに気を使ってもらったのは初めての体験でした。


オフィシャルサイトによるとこの映画は「SSS(トリプルエス)」というジャンルで、それは「サディスティック」「ショッキング」「サスペンス」を意味してるそうだ。「サディスティック」なだけの映画なら他にもたくさんあるけど、自分の中の「マゾヒズム」にここまでマッチした映画もなかった(過去に「復讐者に憐れみを」や「ミスト」等があったけど、今作が間違いなく1番)。「ここでこうなったらイヤだなぁ」というシーンは間違いなくそうなるし、「ラストカットはここでこうなってあの音楽が流れると最高」と思ったらやっぱりそうなった。ミヒャエル・ハネケ監督が他人と思えない自分がちょっと怖い。


その他
・主演のナオミ・ワッツに対して「よくこんな役引き受けたなー」と思ったら、彼女はエクゼクティブ・プロデューサーも兼任していてびっくり。
・エンド・クレジットの最中の居心地の悪さは完全に「ミスト」を超えてた。
シネマライズよりもチネチッタの方がスクリーンがでかいのでオススメ。


(参考)
Naked City「Bonehead」(閲覧注意!!!)