ノーマンズ・ランド

オフィシャル)。週末に見て感想書き忘れ。ボスニア戦争の最中に、中間地帯(ノーマンズ・ランド)に取り残されたボスニア人セルビア人の2人が主人公。敵対する彼等は時に罵りあい、時に友情が芽生えかけるが、友人が体の下に地雷を仕掛けられ見動きが取れなくなったことから、国連やマスコミが動きだし事態を収束しようとする。しかし…というストーリー。
監督のダニス・タノヴィッチは

「ノーマンズ・ランド」が意図するのは、責任追求ではない。悪いことをしたのが誰なのかを指摘する映画じゃないんだ。僕が言いたいのは、あらゆる戦争に対して、異義を唱えるということだ。あらゆる暴力に対する僕の意志表示なんだよ。

と語っています。監督はボスニア人でありながら、決して片方からだけ問題を語ることなく、第三者の目で製作されているのが素晴らしい。最近見た「エレファント」も同じような印象を持ちました。どちら側でもない立場で描くことで、初めて問題点だけをあぶり出しのように見せる、とでもいいますか。あとは「マスコミ」はまだしも「国連」が「役に立たない存在」として描かれているのが新鮮でした。あとから「国連を神聖化しているのは日本くらいだよ」と言われ、そんなもんかと思った次第。そして衝撃のラストシーンはちょっと立ち直れないくらいひどい。しばし落ち込み。泥沼のイラク問題をTVニュースで見る度に多分この映画のことを思い出すと思う。傑作。