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束縛からの自立 - 『塔の上のラプンツェル』

深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなり……。


オフィシャルサイト


塔の上のラプンツェル』観ました。実は2回観てて、1回目は1人でIMAX3D吹替版を。2回目は娘と2人で2D吹替で観ました。


この2回目がちょうど春休み兼映画の日だったもので、場内は自分も含めて子連れ客ばっか。子供の反応というのは非常にダイレクトなので、面白かったら腹の底から笑い、つまらなかったらダレて愚図りだす。で、本作はというと、もうドッカンドッカン受けてた!クローゼットの中にフリンを押し込む連続ギャグや、フリンとマキシマスのケンカ、塔から出たラプンツェルの躁鬱ループまで、こっちがびっくりするくらい笑いが起きてた。


実際、本作は最初から最後までとにかくよく出来てる。グリム童話の『ラプンツェル』が原作ではあるものの、「髪が長い少女が塔にいる」こと以外はキャラクターからストーリーまでまったく違う話だった。非ピクサー作品とはいえ、ジョン・ラセター御大が製作総指揮を努めていることから、ストーリーもギャグも何度も試行錯誤を重ね熟考した上で完成したと思われる。そうでないとあそこまで受けたりはしないよ。


映画の原題『Tangled』とは「絡められて」という意味。これはラプンツェルが長い自身の髪をムチやはしごのように使うことからつけられたと考えられるが、同時に「親からの束縛」をも意味していると思われる。


老婆は我が身のために嘘をつき彼女を閉じ込めたが、現実世界でも知らず知らずのうちに親が子供を「愛情」という名の下に束縛するケースはままある。そんな束縛をいかにして断ち切り、親離れし自立できるか?が本作のテーマである。それはもちろん簡単なことではないし、自由を得ることと引き換えに何かしらの代償を払うことになる。それでも人は自立しなくてはならない。なぜならそれが「生きる」ということだから。


文句のつけようがない傑作ではあるけれど、個人的には原作の最後の展開というのがすごく好きだったので、ああいうハードなテイストがちょっと欲しかったところはある。ただ、そうすると子供はドン引きしそうだけどね。とにかく老若男女全ての人にオススメ。


(その他)
・観たタイミングもあって、老婆が魔法の花や髪の毛を独り占めする行為が「買い占め」する人と重なった。「自分だけ良ければ」というのは良くないよね。うん、うん。

・老婆は「ラプンツェル」という名前をそのままにしたり、誕生日まで教えなくても良かったんじゃないの?脇が甘いよ!

・観終わって娘に「お父さん、泣いてたでしょ」って言われた。泣いて悪いかゴラァ!


(参考)
ラプンツェル グリム童話


ラプンツェル―グリム絵本

ラプンツェル―グリム絵本