落ちるとこまで落ちた人に-「ザ・フォール/落下の王国」
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2009/02/11
- メディア: Blu-ray
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左腕を骨折して入院中の5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・ウンタール)は、脚を骨折してベッドに横たわる青年ロイ(リー・ペイス)と出会う。彼は彼女にアレキサンダー大王の物語を聞かせ、翌日も病室に来るようささやく。再びアレクサンドリアがロイのもとを訪れると、彼は総督と6人の男たちが織り成す壮大な叙事詩を語り始める。
人はほら普通に
裏切られるから
そのくせ自分も
裏切ったりするから
大槻ケンヂと絶望少女達「さよなら!絶望先生」より
去年映画館まで行ったのに満席でチケットが買えず、結局見逃してしまった「ザ・フォール/落下の王国」のBlu-rayを購入し自宅で鑑賞。映画館の大画面で観るのがベストとは思うけど、これぞHV画質という映像の洪水をニヤニヤしながら堪能しました。冒頭のモノクロでスローモーション撮影した映像から興奮しっぱなし。
「象は意外と泳げる」「フィジーの海は超キレイ」という情報を組み合わせて「じゃあ、あそこで象泳がせてそれを真下から撮影すると超かっちょ良くね?」までは誰でも思いつくかもしれないが、実際に象をフィジーまで連れて行ってしまう根性はアホ過ぎて素晴らしい。つか、誰もやらんだろ、マジで。
ターセムは前作「ザ・セル」では「現代芸術」、今回は「ホーリー・マウンテン」等の「パクリ疑惑」があるようだけど、ここではその件については無視。個人的に感じたのは「バロン」との類似点。子ども相手に聞かせる壮大な物語がやがて現実と虚構の壁を崩していく構成が似てるなーと思いました。こういうの大好きなんだよねー。
アレクサンドリアがロイのホラ話に異常に喰いついたのもツボ。なぜならウチでも娘が寝る前に本を読んだりするけど、嫁さんがテキトーにでっちあげて作った物語の方が圧倒的に受けが良いのだ。そしてついつい数日に及ぶ大長編物語になってしまい、ジャンプの格闘漫画みたいに収拾がつかなくなり唐突にキャラが死んだりしていたことを思い出しました。
恋人に裏切られて絶望したロイは、少女を裏切る(利用しようとする)事で自分自身が他人に与える影響力を知る。そしてそれは再生へと繋がる。
冒頭に引用した歌詞の続きはこうだ。
落ちるとこまで
落ちたときこそ
上がるチャンスは
巡ってくると
絶望こそが
人に教える
喜びの日が
必ず来ると
大槻ケンヂと絶望少女達「さよなら!絶望先生」より
以下、特典映像で面白かった所。
ロイを演じた役者は、ほんの一握りのスタッフをのぞいて役と同じく「本当に歩けない」ことにしていたらしい。だから12週間にもおよぶ撮影の間、休憩時間等もずっと車椅子で過ごしていたのだ(!)。明確には語られないけど、アレクサンドリアを演じたカティンカや、その他の役者の演技にリアリティを持たせることが目的だったと思う。全ての撮影が終了した時点で、全スタッフの前で告白する監督とあっさり立ち上がる役者。それを驚きの表情で見つめるカティンカやスタッフ達。ここにも知られざるドラマがあった。
このようにリアリティにこだわる演出は他にもあって、カティンカは実際に父親を亡くしていて身近に男性がおらず、病院でのロイとの絡みも順撮りで撮影している(最初の撮影時が初対面)。だから初めて会った日にはかなり距離をおいて接していた。しかし日を追うごとに距離が縮まってお互いの絆が強くなっていったのは、実際にその通りだったから。しかも台詞はほとんど即興らしい(だから話が噛み合ない箇所が多い)。
映画内では「映画内の現実」と「ロイのつくり話」が徐々にシンクロしていくが、撮影時にも「現実」と「演技」がシンクロしていたんですね。面白いなー。
他にもアレクサンドリアが泣き叫ぶシーンで、監督が何度もダメ出しして「ダメだ!もう1回!」と怒鳴り、それに対して「もうやりたくない!」と泣き叫ぶカティンカのメイキング映像とかが面白かった。アレはマジ泣きだったのねぇ。
あと、完成後のトークショーで「スタッフ全員のギャラは同じ」と監督が語っていた。つまり衣装担当の石岡瑛子と、掃除係が同じギャラだそうだ。そんなコトあり得るの?
こういう見所満載のメイキングや、世界のロケ地の解説等特典が楽しいので、映画館で観た人もBlu-rayの購入をオススメします。DVDで観るなんてもったいないよ。
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
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- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2008/12/10
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