『グランマ・ローファイ シグリドゥル・ニールスドッティルの秘密のカセットテープ』を観ました

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『グランマ・ローファイ シグリドゥル・ニールスドッティルの秘密のカセットテープ』というアイスランドで暮らしていたある平凡なおばあちゃん(2011年に亡くなってます)に関するドキュメンタリー映画をDVDで観ました。

 

 

アイスランドの人口はたったの32万ほど(中野区と同じくらい)にも関わらず、ビョークシガー・ロスといった世界的なミュージシャンを輩出してきました。ここで重要なのは彼らの音楽がいわゆるメインストリームではなく、唯一無二のユニークな音楽であった事です。彼ら以外にもムームやアパラット・オルガン・カルテット等聴く限り、アイスランドの音楽シーンは他の国と比べて極めて自由度が高く、独自性が強いと言えます。


このドキュメンタリー映画の主人公はシグリドゥル・ニールスドッティルというおばあちゃんで、彼女は70歳からシンプルなキーボードと自分の歌、そして身の回りにある様々なモノを使って音楽を作り始めました。それらをダブルカセットのステレオを使って多重録音し、CDを製作し、ジャケットワークを考え、CDショップに卸して販売を始めたのです。彼女は7年程で59枚のCD(約680曲!)を発表しました。彼女の作る素朴な音楽と、そのDIY精神は瞬く間にアイスランド中の話題となり、ミュージシャン達は尊敬を込めて彼女の事を「グランマ・ローファイ(ローファイ・おばあちゃん)」と呼んだそうです。

 

 

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映画では彼女の住む小さなアパートで音楽が作られる過程を映し出していきます。曲に滝の音を入れたいときは水道の蛇口をひねって録音し、ヘリコプターの音を入れたいと思ったときは手動の泡立て器を使って録音します。モノだけでなく犬や鳩の鳴き声を使って曲を作る様は、小学生が自由な発想で夏休みの自由研究をしてるみたいでとても微笑ましいです。



そして、このドキュメンタリーを作った人たちもいわゆるプロの映画監督ではありませんでした。彼らは映像製作の知識もなければ資金もありませんでした。しかし「誰かが彼女の記録を残さなければ」という情熱だけで借り物のカメラを回し続け、完成まで10年かかったそうです。


彼女へのインタビューの合間にはシンプルなストップモーション・アニメや、アイスランドのミュージシャン(ムーム等)が彼女の曲を演奏するユニークな映像が挿入されています。これは愛すべきローファイ・おばあちゃんのDIY精神に敬意を持って応えるべく、映像もDIY精神で作られているようで、とても感動しました。


このDVDには彼女のベスト盤ともいえる21曲入りのCDも付属されているので、映画を観た後には音楽も楽しめる仕様になってて二重に楽しむ事ができます。DIY精神を持つすべての人にオススメです。

 

 

↓予告編


grandma trailer - YouTube

 

 

 

The Basement Tapes of Sigriour Nielsdottir - シグリドゥル・ニールスドッティルの秘密のカセットテープ (DVD+CD)

The Basement Tapes of Sigriour Nielsdottir - シグリドゥル・ニールスドッティルの秘密のカセットテープ (DVD+CD)

 

 

 ↓アイスランドの音楽シーンについてのドキュメンタリー

Screaming Masterpiece [DVD] [Import]

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 ↓個人的に超オススメのアイスランドのバンド

アパラット・オルガン・カルテット

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 ↓彼らについて以前書いた記事はこちら

doy1969.hatenablog.com

 

 ↓本作とはまったく関係ないけど、彼女が住んでいたレイキャヴィクを舞台にしたホラー映画 裕木奈江が出てます