パク・チャヌクVSポン・ジュノ
韓国で最も実力がある映画監督を2人選べと聞かれたら、私は迷わずパク・チャヌクとポン・ジュノを選びます。この2人はそれぞれ独自の作風というか作家性を持ってはいるものの、共通点もかなりあります。
まず、パク・チャヌクは63年生まれで今年で今年で50歳。2000年の『JSA』から日本でも注目されるようになり、2003年の『オールド・ボーイ』がカンヌ映画祭で審査員特別グランプリを受賞し一気に有名に。その後も『親切なクムジャさん』や『渇き』も高い評価を得ています。
片やポン・ジュノはパク・チャヌクより6歳年下で今年44歳。こちらも2000年の『ほえる犬は噛まない』から日本で注目され、2003年の『殺人の追憶』で私を含めた多くの日本人の度肝を抜いて、それ以降の『グエムル』や『母なる証明』でも高い評価を得ています。
出演俳優も結構かぶっていてペ・ドゥナはパク・チャヌク作品だと『復讐者に憐れみを』、ポン・ジュノ作品だと『ほえる犬は噛まない』『グエムル』に出演。ソン・ガンホはパク・チャヌク作品だと『JSA』『復讐者に憐れみを』『親切なクムジャさん』『渇き』、ポン・ジュノ作品だと『殺人の追憶』『グエムル』に出演しています。なのでどちらの監督作品か分からなくなることもしばしば。
また、2人ともシリアスな場面にわざとナンセンスなギャグを加えることで、観客を動揺させどんなリアクションをしていいか分からなくさせるところも似ています。『復讐者に憐れみを』における隣の部屋のあえぎ声を聞いていたら実際は病気で苦しんでいるというシーンや、『母なる証明』のオープニングの踊る母親(エンディングでその背景が分かる)がそれ。
個人的には「復讐三部作」が好き過ぎることもあってどちらかといえばパク・チャヌクの方が好きではあるけど、レオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリーとのオムニバス作品『TOKYO!』でもこの2人に負けない個性と存在感を示したポン・ジュノもやっぱり好きだったりします。
そんな2人の新作が今年公開される(ハズ)。
まずパク・チャヌクは初のハリウッド進出作の『ストーカー』。製作はリドリー・スコットと故トニー・スコットで、出演はミア・ワシコウスカにニコール・キッドマンという超豪華布陣で、もちろん全編英語映画。父が死んで突然現れた叔父を巡るサスペンスみたいで予告編を観た限りパク・チャヌク色は希薄だけど、ミア・ワシコウスカが突然鉛筆を振り下ろすシーンは『復讐者に憐れみを』を思い出してゾクッとしました。こちらは今月末に韓国、来月から全米で公開されるようです。日本公開が決まっているかは不明。まさか未公開じゃないよね….
対するポン・ジュノの新作『雪国列車(『SNOWPIERCER』)』はフランスのコミックが原作のSF超大作で、パク・チャヌクの『オールド・ボーイ』が日本のコミックが原作だったことを思い出させます。製作は何とパク・チャヌクが努めていて、ソン・ガンホが主演という夢のオールスター!韓国映画ではあるもののヨーロッパで撮影されセリフの7割が英語のようで、こちらも世界公開予定。
ライバルでもあり友人でもあり仲間でもある彼らがほぼ同時に世界進出を果たすということで、ファンとして嬉しい限りです。なので早いところ日本公開決定して!!!
(過去の関連エントリー)
笑いと悲劇と暴力と-『復讐者に憐れみを』
妄想映画館 痛快ロードムービー「TOKYO!物語」]
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