光を無くした影 - 『メガマインド』
「生まれが貧しいからというだけで疎外されてしまう体制を俺は絶対認めない。どうしてみんな同じ学校に通って、同等に扱われないんだ?どうしてあいつら専用のナンセンスな学校があって、残りの人間には質の悪い学校が当てがわれるんだ?俺はこんなこと望まないし、こんな命令は受け入れられない」
ジョン・ライドン
悪役のメガマインドは、正義の味方でライバルのメトロ・マンを殺してしまったため戦う相手を失ってしまい、退屈な日々を過ごしていた。そこで、メガマインドは新たな敵タイタンを作り出すが、タイタンは力を正義のために使わずに世界を破壊し始める。焦ったメガマインドは人生で初めて正義のために戦うことになる。
WOWOWで放送された『メガマインド』吹替え版を観ました。2010年に全米公開されたドリームワークス社の3DCGアニメで2週連続で全米ボックスオフィス1位になっています。しかしながら、なぜか日本では劇場公開されずお蔵入りし、その上現時点ではDVDすら発売されていないという極めて不遇な作品です。
ストーリーはシンプル。典型的なスーパーヒーローのメトロマン(声:ブラッド・ピット)と、典型的なヴィラン(悪玉)のメガマインド(声:ウィル・フェレル)の2人は幼少期から長年宿敵として戦っていました。いつも寸前のところでメトロマンが勝っていたのに、ふとした事でメガマインドがメトロマンを倒してしまいます。大喜びするメガマインドでしたが、すぐに生きる目的を失いアイデンティティ・クライシスに陥ってしまいます。つまり主役がヴィランなんですね。これは新しい!
古来よりヒーローとヴィランは光と影に例えられてきました。バットマンとジョーカーしかり、アンパンマンとバイキンマンしかりです。「光があるから影がある」いわゆる表裏一体というヤツですが、では光が無くなったら影はどうすればいいのでしょう?答えは簡単で新たに光を作ればいいのです。
ということでメガマインドは新たなヒーローを生み出そうとするのですが、そこからどうなるかは観てのお楽しみ。脚本がとてもよくできていて後半の意外な展開の連続に素直に驚かされました。ここ数年『キック・アス』や『スーパー!』など新しい視点からのヒーロー映画が続けて公開されて来ましたが、本作もこの流れの1本と捉えても良いでしょう。ヒーローじゃなくてヴィランだけど。
また、本作のポイントは「悪として生まれ育ったものは悪として生きるしかないのか?」というもので、言い換えれば「生まれついての環境で人間の生き方や価値は決定してしまうのか?」をテーマにしています。見た目がちょっと気持ち悪いメガマインドですが、相棒の「コブンギョ」とのやり取りが面白くて、だんだんかわいく、そしてかっこ良く見えてくるので不思議です。あと、エンド・クレジットに流れる音楽の選曲が最高でしたね。イントロが流れた瞬間「やられたー!」と思いました。
そんなわけで超オススメしたい作品ですが、最初に書いたように日本ではDVD化されていません。輸入版を購入するのも手ですが、吹替え版がiTunesStoreで¥2,000で購入可能となっているので、ぜひこちらを利用してみて下さい(以前はレンタルもできていたようですが今はできないみたい)。というかこんな傑作がお蔵入りなんて本当にもったいないので、今からでも劇場公開して欲しいところです。同じくドリームワークス社の傑作『モンスターVSエイリアン』が好きな人には特にオススメ。
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