「ヤン富田:パフォーミング・アーツ アシッドテスト Vol.2」に行きました

YCCヨコハマ創造都市センターで行われた「ヤン富田:パフォーミング・アーツ アシッドテスト Vol.2」に行ってきました。



ヤン富田を説明するのは難しい。はてなキーワードでは「ミュージシャン。ヒップホップ、ハウス、ダブ、アシッド、モンド、現代音楽、電子音楽など様々な分野のパイオニア」とあります。


無理矢理キャッチフレーズをつけるならば、「音楽界のドクター中松」か。ある時はスティール・パン奏者、ある時は日本初のヒップホップ・フルアルバムのプロデューサー、ある時はジョン・ケージの『4分33秒』をカバーしただけでなく、そのダブ・バージョンまで発表し、ある時は脳波を音に変換する装置を開発し、スクラッチを生み出したGrandmaster Flashの脳波で音楽を作ったり、ある時はエビスビールのCMで小山田圭吾と共演したり…。


Cornelius and Yann Tomita - YEBISU THE HOP


個人的には95年に発売されたDOOPEES名義のアルバム『DOOPEE TIME』が大大大好きで、現在に至るまで私の「無人島レコード」の地位を守っています。このアルバムには私が好きなモノが全部詰まってると言ってもいい。ポップ、キュート、ガールズ・トーク、ダブ、ディープ、ドープ、エクスペリエンス、アヴァンギャルド、ノイズ、ナンセンスギャグ、切なさ、そしてラブ!


そんなファンでありながらこれまでタイミングがつかめず今回が初のコンサート鑑賞だったのでした。厳密には今回は「コンサート形式の研究発表会」で、ヤンさんによる実演を交えた講義のような内容でした。


入場時に配られたレジュメ(CD付)


ヤンさん直筆サイン入り(シリアルナンバー付)


まずは2年前に日本科学未来館で行われたLIVEから、『宇宙飛行士・ナンバーαに於けるバイオフィードバック・データの解析』と題された、被験者の頭に電極を繋いで脳波で音楽を作るパフォーマンス映像を上映。その後改めてヤンさんが登場。



ここからはマインド・エキスパンダー2011モデルと名付けられた数々の装置を解説付きで実演が始まりました(『意識解砕機(ほぐし機)による意識の拡張療法より:ファンク注入プログラム』『脳みそ解砕機(ほぐし機)による日常回帰への収束療法』)。さながらでんじろう先生の実験パフォーマンスのよう。つーか、「脳みそ解砕機」って映画『マーズ・アタック!』のオモチャの銃を改造したモノじゃないですか!w


↓こちらがそのオモチャ


ヤンさんのやってることや作り出す音楽は少々難解でとっつきにくい面もあるんだけれど、そのお話は至ってシンプル。最先端のテクノロジーを駆使した音楽でありながら、実際のところ「かっこいいことしかやらない」というある意味アナクロな価値基準のみで行動していることに非常に魅力を感じます。


途中で震災についての話もありました。ASTRO AGE STEEL ORCHESTRA名義のアルバム『HAPPY LIVING』に収録した『Bikini Rock』という曲は一聴すると笑い声とかも入っていておだやかな曲なんだけど、放射能についての曲だということを初めて知りました。このCDのレーベル面には放射能のマークが描かれています。


あっという間に2時間以上経過し、最後は大野由美子さんボーカルで、DOOPEES『Through My Window』の生演奏で締めくくりました。もっと色んな音楽を聴きたい気持ちもあるけれど、このスタイルがヤンさんには合ってるように思います。それにしても大野さんの声はかわいいなー。


THROUGH MY WINDOW − DOOPEES 1995


ヤンさんは「売ることを最大の目的としていた20世紀の音楽産業が崩壊し、これからは本当にいい音楽だけが残る時代になった」と言います。我々はそのことを素直に喜ぶべきだと思いました。


ミュージック・フォー・アストロ・エイジ

ミュージック・フォー・アストロ・エイジ

MUSIC FOR LIVING SOUND

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DOOPEE TIME

DOOPEE TIME

HAPPY LIVING

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