なりたい自分になれるかな? - 『イースターラビットのキャンディ工場』
イースター島にあるキャンディの国。うさぎの王子イービーはキャンディ工場を継ぐことになっているが、ミュージシャンになる夢をあきらめきれないでいた。ある日、オーディションを受けにハリウッドへと向かったイービー。ところが、イースター島ではイービー捜索のためにうさぎの最強部隊“ピンク・ベレー”が出動。そのすきにヒヨコたちが工場を乗っ取ろうとしていた。
娘と川崎で『イースターラビットのキャンディ工場』を観ました。多くの方が本作を『怪盗グルーの月泥棒』のスタッフによるオールCGアニメと思ってると予想しますが、実際には実写とCGアニメを融合した作品です。
詳しくはこちら参照。
イースターという日本では馴染みが薄い習慣を題材にしてることから、宣伝方法を色々考えてやったことかもしれませんが、こうまでして全編CGアニメ作品に見せかける必要があったのか理解に苦しみます。
オープニングの舞台はイースター島です。なぜイースター島かというと、イースターラビットがそこに住んでいてキャンディ工場があるから...。ってイースター島と復活祭(イースター)は関係ないでしょ!と思ってたんだけど、帰って調べたらイースター島を発見した日が復活祭だったので、こういう名前になったそうだ。一応関係あったのね。
本作の主人公は1羽と1人います。まずはイースターラビットの後継者でありながらドラマーになる夢があきらめきれずにハリウッドへ家出したウサギのEB。
そして、就職しても「オレにはもっとふさわしい仕事があるハズ」と無根拠に考えすぐ辞めてしまい実家を追い出された半ニートの困った青年フレッドです。
さらにイースター島のキャンディ工場で長年働いてるヒヨコのカルロスがいます。彼は以前からウサギ一族による工場の独占に納得がいっておらず、いつの日か自分たちがウサギに変わってイースターラビットになることを画策しています。
この3人(2羽と1人)はいずれも現状に満足しておらず、それぞれ普通なら考えられない仕事につくという夢を持っています。各人がそれに対してどのように動き、最終的にどうなるかがポイントのハズなんですが、脚本があまり練られているようには思えず非常に中途半端な結末を迎えたことは残念でした。
それでも笑えるシーンはいくつかあって、1つはEBがドラムのオーディションを受ける場面。審査員が『ナイトライダー』のデビッド・ハッセルホフ(彼は実際にオーディジョン番組の審査員をやってた)で、言葉を話すウサギを見ても動じない理由を尋ねると、「ウサギくん、オレの相棒はしゃべる車だったんだよ」と答えて大笑いしました。子供には分からないって!
監督のティム・ヒルは前作の『アルビン/歌うシマリス3兄弟』でもそうだったように、実写+CGアニメで音楽ネタをはさむのが得意のようで、本作では皆でBow Wow Wowの「I Want Candy」を歌うシーンが良かったです(日本語吹替えでは「キャ〜ンディ、ちょうだい」って歌ってましたが...)。この曲、ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』で流れた時も超盛り上がりました。
HOP i want candy music video
全体としては、子供に受けそうなカラフルな配色と軽快なテンポで、大人向けのギャグを要所要所ではさみつつ、でも全体的にはスキが多いというユニバーサルスタジオクオリティーでした。ちょっと残念。次回に期待。
(その他)
・そもそもあのヒヨコってニワトリにならないんだろうか?
・ピンク・ベレーはいいキャラだったのでもうちょっとうまく使って欲しかったな。1人がEBのことを好きで...とか。
・アニメのウサギと実写の人間の友情映画だったら『ロジャー・ラビット』の方が面白いよ。
・フレッドの吹替えを千葉雄大というモデル?がやっててヘタ過ぎて辛かった。子供と観るときは吹替え版を選ぶけど、せめてちゃんとした声優さんを起用して欲しい。
・娘に「イースターって何?」と聞かれた嫁さんが「キリストが1度死んでからゾンビみたいに生き返ったことを祝うお祭り」と答えてた。嘘ではない、と思う。
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