ブサイクナニーの家庭改造計画 - 『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』
農場を切り盛りするママ(マギー・ギレンホール)を手伝いながら、戦争に行って音信不通のパパの帰りを心待ちにするグリーン家の子どもたち3人。そんな中、戦火のロンドンからいとこ2人がグリーン家にやって来る。田舎育ちと都会育ちの違いから反発し合う3人と2人だったが、そこへナニー・マクフィー(エマ・トンプソン)が現れ……。
娘と有楽町に『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』を観に行きました。面白かったです!
本作は5年前に公開された『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』の続編で、ナニー・マクフィーシリーズの第二弾。前作は未見のまま鑑賞しましたが、まったく問題なかったです(観賞後にレンタルで観ました)。
感想を書く前に「ナニー」とは何ー?という話から(笑うトコロですよ)。
「ナニー」はイギリス独自の文化で、平たく言うとプロの「子守り」。主に上流階級、上位中流階級においては、両親が直接子供を教育するのではなくナニーを雇ってしつけを学ばせるコトが一般的です。そうしたプロのナニーを養成する専門の学校まであり、優秀なナニーを雇うことが上流階級におけるステイタスの1つになってるそうです。
映画で最も有名なナニーといえばおそらく『メリー・ポピンズ』。ジュリー・アンドリュース演じる魔法が使えるナニーがどこからともなくやって来て、問題を抱えた家族を救っていきますが、『ナニー・マクフィー』シリーズも基本的には同じようなストーリーです。
メリー・ポピンズと大きく違うのはナニーの容姿。かわいらしいメリー・ポピンズに対して、1本まゆげに、ダンゴ鼻、大きな2つのイボ(ホクロ?)には毛が生えてて、しかも巨大な前歯が1本だけ飛び出しています。その不細工さは魔女というより志村けんの「変なおじさん」に近いです。
こんなナニー・マクフィーを演じてるのはアカデミー賞女優であるエマ・トンプソン。何と彼女は本シリーズの脚本までも担当しています。ノリノリでブサメイクをやってるコトからも、彼女がこのシリーズが好きで好きでたまらないことがよく分かります。
今回ナニー・マクフィーがしつけるのは田舎暮らしのわんぱく3人兄弟と、都会から疎開のためにやって来たイヤミな兄妹の計5人。冒頭はこの「田舎の子供」と「都会の子供」による仁義なき戦いが繰り広げられてかなり面白かったです。当初「都会の子供」は「いけ好かないイヤなヤツ」として描かれますが、中盤以降は彼らにも様々な事情があることが分かってきます。
後半起きるトラブルに対して、子供達は魔法で何とかして欲しいとナニー・マクフィーにお願いするのですが、基本的に彼女は彼らを手助けせず、あくまでも自分達で考えて行動するよう諭します。そうやって子供同士で協力し解決するように仕向けた上で、サポートのみを行うのです。やみくもに魔法で解決するのではなく、あくまでも子供の成長を目指しているところが好感が持てました。
全体的にはユルい子供向けファンタジー作品ではありますが、所々でイギリスっぽいブラック・テイストが散りばめられているのも楽しいです。本作では借金のカタに生きたまま内蔵を取り出そうとする女性が登場します。さすがモンティ・パイソンの国!
ちなみに前作ではお父さんが葬儀屋という設定で、やたら死体が登場してました。不謹慎先進国としてのイギリスをかいま見た気がしましたね。
日本での知名度はかなり低いシリーズですが、子供だけでなく大人でも楽しめる良質な作品になっていますのでオススメです。
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