元祖『アイアンマン』 - 『鉄男 THE BULLET MAN』
東京で普通のサラリーマンとして働くアメリカ人男性のアンソニー(エリック・ボジック)は、日本人の妻ゆり子(桃生亜希子)、3歳の息子トムと幸せな生活を送っていた。ある日、最愛の息子が謎の男に殺され、絶望に打ちひしがれる中、怒りに我を失ったアンソニーは体から蒸気と黒いオイルを噴出し、全身が金属化していく。
先日爆音映画祭で『AKIRA』が上映されたが、チケットは速攻で売り切れ。行く気満々だったので、「う〜爆音を浴びたい。脳が破壊されるような爆音が欲しい〜」とゾンビっぽい気持ちになっていたところで「立川でやってる『鉄男 THE BULLET MAN』の音響がスゴいらしい」という噂を思い出し、急遽立川へ。
元々塚本監督は映画音響にこだわりが強い。『鉄男2 BODY HAMMER』(92年)も後に音響をてこ入れした『〜SUPER REMIX VERSION』が作られて公開された。当時わくわくしながら観に行ったけど、肝心の映画館サイドがフツーの音響設備で音量もフツーだったのでがっかりしたのだった。
それが今回は映画館サイドも「可能な限り爆音で上映」になったらしく、なかでも立川のCINEMA TWOではサウンド・スペース・コンポーザーの井出祐昭氏が監修して「すごいことになっている」とネット上で話題になっていたのだ。
爆音なんてもんじゃない。まさに《爆圧》ですよ《爆圧》! 音量もさることながら、時には心臓に鈍い痛みが走り、服の裾がびりびりするほどの波動に、ひじかけを掴む両手に思わず力が…。
2010-05-25 - 嗚呼、テレ日トシネマ−雑記−
で、実際に体験した感想は「爆音サイコー!!!!」。爆音『AKIRA』と『〜SUPER REMIX VERSION』の無念が晴らせたよ!
今回は主人公を「日本に住む欧米人」にして、全編英語セリフで海外上映を念頭に置いてる模様。しかしCG等に頼ることなく、前二作同様にひたすら低予算のハンド・メイド作品なところが良かった。金がなくてもここまでやれる!の素晴らしい見本。
とはいえ、正直今回のオチにはがっかり。92年にはできたことが2010年ではできないということは分からなくはないけど、振り上げた拳の行き場がなくて困ってしまった。
Yahoo映画のレビューとかで、過去二作を見てない若い人の「衝撃を受けた」という書き込みを見てうれしくなった。TV局が作った『〜 THE MOVIE』ばかりの世の中で、「でも、やるんだよ」精神で作られた映画を観ることは意味があるハズ。DVDではなく映画館で観ることを強くオススメ。
(その他)
・塚本監督演じる「ヤツ」の髪型がタコ八郎だったのは笑えた。
・『AKIRA』を観に行くつもりで『鉄男』を観るというのも何かしら因縁を感じる。
・初代鉄男の田口トモロヲ氏がカメオ出演してる。
・久しぶりに行った立川はモノレールとか広ーい道路とかが新鮮で未来都市のようでした。
・CINEMA TWOは非常に良い映画館なんだが、このモノレールのせいで数分置きに揺れるのでちょっと怖い。
(参考)
鉄男 BULLET SOUND || CINEMA CITY;CINEMA TWO
完全鉄男 『鉄男』から『鉄男 THE BULLET MAN』までの軌跡
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