観たらかしこく見える映画-『イングロリアス・バスターズ』

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1941年、ナチス占領下のフランスの田舎町で、家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナ(メラニー・ロラン)はランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉(ブラッド・ピット)率いる連合軍の極秘部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげていた。やがて彼らはパリでの作戦を実行に移す。


『イングロ』最高だった!感想をまとめきれないのでダラダラと書く。


『イングロ』をオススメする理由。


Chapter1-戦争映画に非ず

『イングロ』は「ブラピがナチをぶっ潰す痛快アクション満載の戦争映画」のように思ってる方も多いだろうが、今作には「前線での戦闘シーン」が一切ない。その昔脱獄映画なのに脱獄シーンがなかった『ダウン・バイ・ロウ』という映画もあったが、そんな感じだ。「戦争映画は辛気くさくて苦手」な人でも大丈夫!


(追記)
ブコメで指摘されたが、『レザボア・ドッグス』だって銀行強盗映画なのに強盗シーンなかったよな。そーだ、そーだ。


Chapter2-外国映画

『イングロ』は(タラにとっての)外国映画だ。アメリカ映画でありながら舞台はほとんどフランス。言語はフランス語、ドイツ語がほとんどでイタリア語も出てくる(このシーンは最高に笑える!)。なのでずっとそれらの英語字幕(と日本語字幕)が出てくるので途中頭がこんがらがるが気にするな。これが映画だ。推測だけど、タラは自身が好きだった外国映画(イタリア、ドイツ、フランス映画)を自身の手で作りたかったんじゃなかろうか?日本映画への愛は『キル・ビル』で散々やったし。最近は「字幕が苦手」なんて言う若者が多いらしいが、そんな事言ったらバカと思われるぞ。逆に「字幕が2つ出る」映画を観たらかしこく見えるぞ!


Chapter3-残酷映画

Chapter1に書いたように『イングロ』には戦闘シーンがない。にもかかわらずR-15指定されたのはブラピ率いるバスターズがナチを残虐に殺しまくるからだ。ナチの頭の皮はぎシーンは執拗に出て来るし、『ホステル』の監督であるイーライ・ロス君の「バットで脳天粉砕」も『ホステル』に負けないくらい相当にグロい。ラスト近くではとある方の顔面がライフルでグチャグチャになるシーンまで拝める。ありがたや、ありがたや。みんな残酷好きでしょ?好きだよね?


Chapter4-いつものタラ映画の進化系

これまでのタラ映画と同じく「ダラダラした会話」が長々と続くシーンが多い。これが苦手な人もいると思うが、今回の会話の内容はそんなに退屈ではなく、むしろ緊張感を高める効果が強くて非常に楽しめる。今作はChapter1から5までの5章に分かれていて、1章から4章までは基本的に独立したストーリーだ。これらがそれぞれ「ダラダラ会話が続いて緊張感がマックスになって最後にドーン!」という展開になっていて、最後のChapter5で全ての章の総仕上げになる構成。よってクライマックスの盛り上がり(と意外な展開)は最高!


Chapter5-映画愛溢れる映画

これまで同様たくさんの映画が元ネタになってはいるけど、自分のようにほとんど知らなくても十分楽しめるから問題無し。最後の舞台となるのがパリの小さな映画館だが、この場所である者は計画し、ある者は殺され、ある者は殺し、ある者は裏切られ、ある者は感激し、ある者は愛する。ここには映画の全てが詰まっているといってもいい。「映画好き」であれば問答無用にオススメだ!


↓映画を観た後はこちらで復習(讐)も忘れずに。

(関連)
↓『イングロ』レビューのまとめあり。
映画は見た目が9割以上!『イングロリアス・バスターズ』- 俺の邪悪なメモ