若手芸人のギャグ -「モンスターVSエイリアン」(吹替え3D版)


結婚式当日、スーザンは隕石に衝突して突然身長が、約15メートルの巨人に変身してしまう。彼女は政府によって新種のモンスターの烙印(らくいん)を押され、そのほかのはみ出し者のモンスターらとともに秘密基地に収容される。ある日、突如エイリアン・ロボットが地球に現れ攻撃を開始したため、スーザンはモンスター軍団とともに戦うよう言われるが……。

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この夏は娘と一緒にたくさん映画を観ようと思いこの「モンエリ」(この略称がまったく覚えられない)も候補に入っていたのだが、「超」がつく恐がりの娘は「もんすたーこわい」「すりーでぃーはとびでてこわい」と言って鑑賞拒否。2週間に渡って説得を続け、最終的に「おとうさんのともだちといっしょだったらいい」という条件でOKがでた。つーか、なぜオレと2人ではダメなのか?自分の友達ならともかくなぜオレの友達と観たいのか?納得いかないまま、以前も一緒に「WALL・E」を観た幼女好きなはてなダイアラー3名にお願いして一緒に行っていただくことに。


「50年代SF」にオマージュをささげたプロットを聞いただけでも超面白そうだった本作。観るまで知らなかったけど「80年代ギャグ」がたくさん絡められてて結構笑った。B-52'sの音楽もバツグンにかっちょ良く、3Dはガンガン飛び出て超楽しい。「結婚」という夢に溺れていたヒロインがマイノリティになることで自我を取り戻すストーリーもよくできてる。つーか、これって「ヘルボーイ」のパク...(自粛)。


結構笑っておいて説得力がかけるのは百も承知なんだけど、同時に物足りなさも感じてしまった。キャラ設定やギャグが「その場の思いつき」の範疇を超えていないような気がしてならない。もっともっと詰めたらもっともっと面白くなったんじゃないの?というツメの甘さみたいなのを感じる。


そんなことを考えてしまう原因は実は分かっている。重度のPIXARヲタな私は、3Dアニメを観る時にどうしてもPIXAR作品を基準に観てしまうのだ(特にドリームワークス作品となればなおさら)。ヲタの言うことなんで、話半分に聞いて欲しいんだけど、PIXARは熟考に熟考を重ねてストーリーやギャグを練っていくので、最初に「これは受ける」と思ったギャグはどんどん形を変えていき最後には原型をとどめていないことも珍しくない。他にもマルクス兄弟は舞台で披露したギャグの中で特に受けたモノだけを厳選して映画に使っていた。その結果生まれる「深み」のようなものが「モンエリ」には感じられないのだ。


「思いつきギャグ*1だって笑えればいいじゃん」と言われれば返す言葉はないし、実際そうかもなぁとも思うし、「思いつき」独特の面白さだってあると思う。だけどこのギャグを10年後に再び観た時に笑えるかどうかはやっぱり疑問だ。


私はお笑いにすごく疎い*2んだけど、「お笑いレッドカーペット」(だっけ?)みたいな若手芸人がたくさん出て来る番組を見ると、人によっては結構笑える時もあるけど、ほとんどの場合ポカーンとしてしまう。だけどスタジオではすごく受けてて「満点」を取ったりする。


私にとって「モンエリ」はこれにやや近い。今はその場のノリで受けてるけど、数年後にはどうなるか分からない。そんな賞味期限が短い笑い。


どちらかというと名作落語みたいに決して古くならず、繰り返し聞いても笑える。そんな映画の方が私は好きなんだけどなぁ。...笑っておいて文句言うなんて何様だよ>自分。


(その他)
・3Dを怖がっていた娘は結局3Dメガネをほんのちょっとしかかけずに鑑賞。それでも結構笑ってた。
バナナマン日村とベッキーの吹替えはそれなりに良かった。
金門橋での巨大生物の戦いはワクワクした(結構楽しんでる私)。


(参考)
映画絵日記その2「モンスターVSエイリアン」-THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACRE

*1:思いつきギャグといえば「Jackass」があるけど、あそこまで突き抜けたらもちろん面白い。

*2:そんな私ですがオードリーは結構好きです。