「ショック! 残酷! 切株映画の逆襲」感想&トム・サヴィーニについて

ショック! 残酷! 切株映画の逆襲

ショック! 残酷! 切株映画の逆襲


正直言って「切株本」の続編が出ると聞いたときは「もう、そんなにネタないんじゃないの?」と思っていたんだけど、今回も充実すぎる内容でお腹いっぱい!でした。


1番面白かったのはヨシキ所長が思い入れたっぷりに書かれている「トム・サヴィーニ全仕事」。特殊メークアップの巨匠なのにディック・スミスリック・ベイカーら大御所と比べると、親しみやすいというか「元ファン側の人」って感じがしていいんですよね。味のある役者としての側面も愛される理由かも。


参考文献としてあげられていた「ファンゴリア ビデオマガジンVol.1/トム・サビーニスペシャル」をかれこれ20年くらい前にレンタルで見てて、ちょー面白かったことだけは覚えているんだけど、詳細は忘れていたのでネットで検索したら、ニコニコ動画にアップされてた。




1/2の方がなぜかうまく再生できず、後半の2/2のみ見れた。


この2/2だけでも「死霊のえじき」のクライマックス「ゾンビに胴体真っ二つにされる」シーンのメイキング(豚の内蔵が腐ってしまい現場はすごい匂いだった)や、「クリープショー」のゴキブリ登場シーンのメイキング(トム様はゴキブリが嫌いで心底イヤだったらしい)等見応え十分。


↓「死霊のえじき」について語るトム様。



なかでも最後に出て来るトム様の独白が興味深かった。

仕事の中に不安があると夢の中にも出てくる
時々自分が殺人鬼になった様な気がする
多くの人を映画の中で殺した
彼らの遺体はここにある
バラバラの体まである
奇妙な生き物も潜んでいる
見たことのない悪夢と言えば
自分で造ったクリーチャーたちに復讐される夢だけだ
もしそんなことがあったらどうすると思う?
覚悟はできているさ


「いつか自分が造ったクリーチャーに復讐されるかもしれない」そんなことを考えながら彼は死体をクリエイトしていたんですね。見ようによっては「死をもてあそぶ」行為にも取れる自分の仕事に対して、何かしら罪の意識のようなものを感じているのか?それは分かりませんが、彼には彼なりの哲学があってそれにのっとって覚悟の上で仕事をしてるんですね。男だなぁ。


切株映画の逆襲」その他の見所
・前作では参加してなかった切株マスター中原昌也さんの「世界切株戦争宣言」。
伊東美和さんによる期待のフランス切株映画マーターズ」監督へのインタビュー。
真魚八重子さんによる和製切株映画の解説(このジャンルまったく見てないんですが、すごく見たくなりました)。
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・深町先生の「残酷ノワール小説を読む」。ちょうど今「TOKYO YEAR ZERO」読んでるトコロ。
・次回は「切株映画の帰還」らしい。楽しみ!


(参考)
The Official Tom Savini Homepage
↑ここで知ったけど、エド・ゲインの映画「ディレンジド」ってトム様仕事だったのね。