実は怖い映画-「トウキョウソナタ」


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仕事に没頭する毎日を送っている平凡なサラリーマンの佐々木竜平(香川照之)は、ある日突然、長年勤め上げた会社からリストラを宣告されてしまう。一方、世の中に対して懐疑的な心を持っている長男・貴(小柳友)は家族から距離を置くようになり、一家のまとめ役だったはずの妻・恵(小泉今日子)にも異変が起き始めていた。


レンタルで「トウキョウソナタ」を見ました。


黒沢作品としては久しぶりにホラーではなかったけれども、蓋を開けてみたら「家族崩壊」というテーマがリアル過ぎてどのホラー映画よりも怖かった。リストラ仲間の家で食事するシーンとか怖過ぎ。画面から死臭が漂ってたよ。


半家族全員がそれぞれの方法で家族からの脱出を図った後で、色々あって家に帰ってくるシーンが良かった。「家に帰ろう!」という強い意志はあまりなくって、まるでゾンビがショッピングモールに集まってくるように自然に帰ってくる。どこにも行けないと分かった時に帰れる場所としての家。


家族なんて壊れて当たり前。イヤなことあったら出て行けばいい。そしてまた帰ってくればいい。その程度の気持ちでいいんじゃないの?


(その他)
役所広司が登場してからのとんでもない展開は黒沢清ファンにはうれしいけど、シリアスな家族再生ドラマを期待した人には興ざめに映るかも。

・映画のコピーが「ボクんち、不協和音」で、サントラにそのまんま不協和音な音楽が使われていて「そのまんまじゃん」とか思っていたけど、後半ジワジワ効いてきた。