「WALL・E」を観る前に観るべき映画漫画その5-「ドラえもん」「火の鳥」
「ねぇ『WALL・E』ってもう終わっちゃったのかなぁ?」
「バカヤロウ!まだ始まってもいねぇよ」
当ブログで「WALL・E」ネタ書きまくって盛り上がっていたのが6-7月なんでもう半年近く経っちゃいましたが、(日本では)まだ始まってもないのよね。ということで、忘れかけていたネタを掘り起こして書きます。今回は趣向を変えて映画ではなく漫画について。
「WALL・E」のレビューを読むと、「環境破壊に対する警告がウザい」といった趣旨のモノをよく見かけます。私自身は未見なので(既にUSで発売されているBlu-rayを買おうかどうしようか散々迷ってやめた)こんなこと言うのは何ですけど、「環境破壊」は「WALL・E」の重要テーマではない、ことを強調したい。実際にアンドリュー・スタントン監督も言っている。
――ゴミのヤマを黙々と片付け続けるウォーリーの姿が印象的だったが、作品の背景に、米国を中心とした大量消費社会への批判があるのか。
実は僕の発想はまったく逆で、まずストーリーとして主人公が取り残されたロボットを設定した。地球上に人類が誰もいなくなった状況として、人間が住めないほどゴミがたまってしまった背景にしよう、と考えた。
(中略)
――作品を見て環境問題について考えさせられた。監督はいつごろからエコロジーについて興味があったのか。
環境問題やエコロジーについては、「ファインディング・ニモ」については海を、今回の「ウォーリー」では地球を描いたが、社会的メッセージ性を考えて描いたわけではありません。
実は私は地球も大好きだし、環境を残すことも大事だと思うが、もっと大きなメッセージがある。それは人類にとって一番大事なこと「愛」だ。その愛を無くしたらどうなるか、その中には環境問題も含まれるが、人類が失ってはいけないものとしての愛をウォーリーが知り、学んでいく過程を描いた。
環境・エネルギー :テクノロジー :日本経済新聞
「だーかーらー、環境問題はそんなに興味ないんだって!」と叫びたい監督の心情が見えるようなインタビューですね。
そんなわけで「環境問題」は「ストーリーの背景」でしかないので、そこはさらっと流しちゃって構わない。それよりも「WALL・Eが700年間孤独の中で過ごして来た」ことにもっと着目すべきだ。
そこで思い出して欲しいのが、「ドラえもん」に登場した「どくさいスイッチ」。
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「ジャイアンさえいなかったら...」と言うのび太にドラえもんは「どくさいスイッチ」を渡す。「自分にとってじゃまな人間を消す」ことができるが復活はできない。ジャイアンに続いてスネ夫を消したのび太はだんだん恐ろしくなるが、うっかり「全ての人間」を消してしまう。
世界に1人となったのび太は一瞬だけ自由を謳歌するが、夜になって1人では何もできないことに気がつき後悔する。そしてつぶやいたのが、
「出てきてよ・・・。誰でもいい。ジャイアンでもいいから出てきてくれ!一人でなんて・・・、生きていけないよ・・・。」
子ども時代にこの話を読んでトラウマになった人も多いんじゃないですかねー?たった一晩でもこうなのに、WALL・Eは700年もの間一人ぼっちだったのだ。元々ロボットなんだから感情なんてなかったのかもしれない。でも700年の孤独を体験すると「誰かに会いたい」「誰かの手をにぎりたい」と思っても不思議じゃないんじゃないの?私が予告編を見ただけで泣けてしまうのもこの「孤独感」にある。
もうちょっとスケールを大きくした話が手塚治虫「火の鳥(未来編)」。
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西暦3404年に起こった戦争を何とか生き延びたマサト。火の鳥は(頼んでもいないのに)彼を「不老不死」にして「地球の復活」を命じる。ほどなく1人ぼっちになったマサトは孤独に耐えきれず自殺を試みるが「不老不死」のため死ねない。ある時彼は人型のタイムカプセルを見つけるがそこには「5000年後に開けるように」とある。「誰かに出会える!」それだけを希望にマサトは5000年待つが、開けた中身は既に風化していた。
この時のマサトの途方もない孤独感を想像して欲しい。WALL・Eだって同じ気持ちだったと思うのだ。ちなみにマサトはそれからさらに数億年かけて地球を復活させることになります。ひー。これに比べたら「アイ・アム・レジェンド」のウィル・スミスの孤独なんて屁みたいなもんですよ。
そんなわけで12/5の公開がいよいよ近づいて来ました。このパンパンに膨らんだ期待に耐えられるのか?不安もありますが楽しみです。実際に見た感想はまた改めて。
「WALL・E」を観る前に観るべき映画その1-「ハロー・ドーリー」
「WALL・E」を観る前に観るべき映画その2-「サイレント・ランニング」
「WALL・E」を観る前に観るべき映画その3-「街の灯」
「WALL・E」を観る前に観るべき映画その4-「IDIOCRACY」
「WALL・E」に登場するBuy n Large社のサイトが凄すぎる