死者の日記-「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」

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ジェイソン(ジョシュア・クローズ)は、ペンシルバニアの山中で夜中に仲間たちと卒業制作のホラー映画を撮影していた。そこで各地で死者がよみがえっているというニュースをラジオで聞きつけた彼らは、急きょ寮へと駆けつける。そして恋人デブラ(ミシェル・モーガン)を無事に発見したジェイソンは、仲間たちとトレーラーで一路家路を目指すが……。


銀座シネパトスで見ました。ロメロのゾンビは新作のたびに進化しますが、今作ではついにゾンビが日記を書きます、携帯で。

アタシ

ゾンビ

歳?

23

まぁゾンビなんでずっとこのまま

彼氏?

まぁ

当たり前に

いる

てか

アタシが食べちゃったんだけど

みたいな


嘘ですけど。



話を戻して、いやー面白かったです。P.O.V.(Point Of View=主観撮影)ということで、「REC/レック」みたいに「フレームの外からゾンビが突然出て来て超怖い」みたいな怖いんだけど安易な演出になるかと思ったらまったく違いました。「そういうのもやれるけど、やらない大人の余裕」みたいな。


「ゾンビ」でも描かれていた「マスメディアによる情報操作」は今作でも行われていて、それに対して現場の各個人がカメラ片手に即席レポーターになり「個人メディア」となるのが今作の特長。「ゾンビは会議室にいるんじゃない、現場にいるんだ!」とは言わなかったけど、主人公のジェイソン君は「自分の映像が世界を救う」という幻想を抱き、徐々に感覚が麻痺していき、後半には仲間が襲われているのに助けずに撮影を続けるようになる(このあたりは「秋葉原事件の大勢の傍観者」を彷彿とさせる)。「今、何をするのが大切か」が分からなくなる怖さ。そしてその映像の価値を決めるのが「閲覧者数」でしかないという危うさ。「たった数分で数万人が見たんだ!」。はいはい、凄いねー。つか、こんな世界でよくネットだけが無事でいるよなー。


「突然ゾンビが現れた世界」という点では「死霊のえじき」や「ランド・オブ・ザ・デッド」と違って、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の現代版ととらえることも可能。実際ラストシーンのいや〜な感じとかも共通してるしね。ただ、最近の「走るゾンビ」に代表される「ハードコアな恐怖演出」はあまりないので、最近のゾンビ映画しか見てない人には物足りないかもしれない。この辺は好き好きだけど、ゆっくり歩くゾンビを見るとちょっと落ち着きますね。ホラー映画だけど。


主人公達学生グループが若いくせに今ひとつはじけてくれないのに対して、観客のテンション一気に上げてくれるのが納屋にいる難聴のおじいちゃん(名前忘れた)というのも良かった。一見飄々としていながら一番過激な男というキャラ設定が最高。彼の男気あふれる最期は必見。


YouTube等現代的なエッセンスを使ったり、(前作と比べれば)低予算であっても、ロメロの「ゾンビ映画とはこういうものだ」という一本筋の通った信念を感じとれただけでも見て良かったです。歌舞伎みたいに要所要所で「よっ、ロメロ!世界一!」「ゾンビ最高!」とか叫びながら見るのが正しい鑑賞法。


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