黒沢清の映画術
- 作者: 黒沢清
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: 単行本
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伝説の8ミリ学生自主映画製作集団「パロディアス・ユニティ」から最新作『LOFT』まで、映像のカリスマが自らの秘密をすべて明かす決定的自伝。
図書館で借りました。タイトルに「映画術」とあったので、テクニック的な内容かと思ったらロングインタビュー形式の映画にまつわる自叙伝みたいな内容でした。インタビュアーが黒沢作品に詳しい方で話を聞き出すのがうまいことと、黒沢清本人がいい意味でとぼけた人なのでまったく飽きずに最後まで興味深く読めました。
大学時代に深く考えずに受けた授業で蓮實重彦に出会ったり、「CURE/キュア」は当初は「リアリティがない」と周りから言われたのに、オウムや酒鬼薔薇事件の直後には「リアル過ぎる」として公開が延期された話や、伊丹十三との「スウィートホーム」(学生時代にデートで見たよ、懐かしい)にまつわる確執とか面白かった。
この本では「家族の映画は撮らない」と宣言していたのに、現実には「トウキョウソナタ」を作ってカンヌで賞を穫っていたりしてるのも面白い。本人の意思や意図と周りの評価がかなり食い違ってることにあまり納得がいかないようだけど、やっぱり映画の神に愛されてる人だと思う。オススメ。