CURE

CURE キュア [DVD]

CURE キュア [DVD]

黒沢清特集(チャンネルNECO)で「CURE」を久しぶりに見る。もう何回も見てるんだけど、こんなに反社会的な映画もないんじゃないかという位、悪意に満ちている作品だといつも思う。
ストーリーは単純。ノドをXに切り裂く猟奇殺人が立て続けに発生。いずれも犯人はすぐに捕まるがそれぞれの犯人には動機らしい動機もなく、ただ「魔が差した」とつぶやくだけ。捜査を担当する役所広司は「催眠術」がこの事件のカギではないかと推測するが、そんな時重要参考人として記憶障害の萩原聖人が現れる…。
萩原聖人アンソニー・パーキンスと張れるくらいのサイコ演技も凄いし、精神を煩った妻を持ち苦悩する役所広司の演技も凄い。でもこの映画が本当に凄いのは最期に××が全てを受け入れてしまうこと。それはこの世の中でみんなが気がついているけど絶対に言ってはならないこと。そしてそんな映画に「CURE」(「治療」「治癒」「魂の救済」「〜を取り除く」など)というタイトルをつける黒沢清。あんたやっぱ悪人だよ。
この映画、後半唐突にデヴィッド・リンチ・ワールド(廃屋、フラッシュバック、低音ノイズ)が始まりますが、それさえ乗り切ればあなたもこの映画のトリコになるでしょう。