ドッペルゲンガー

DVDレンタル。(オフィシャル)。オフィシャルサイトはパっと見で「恐い映画」に見えてしまうが、黒沢監督がしつこく言っていたとおり「コメディ」(ただし真っ暗なブラック)映画。スランプに落ち入っている主人公役所広司の前に突如登場した分身(ドッペルゲンガー)。この分身との奇妙な二人三脚が始まることで始まる珍道中というのがストーリー。この分身の存在に初めて気がつくあたりは、黒沢監督の十八番「居心地の悪い恐怖」*1に満ちているのに、これ以降はもうドリフレベルのギャグの応酬。本音くんと建前くんによる1人漫才。後半新潟までのロードムービーに変わってからは本当にコントじゃんと思いました。柄本明の「あのシーン」なんて酷過ぎ。「あっ」ってあんた。最後の最後はちょっと「わたしは真悟」っぽくて○。あの状況下で、きっと彼は三角から四角、そして丸になったんだよ。
アダプテーション」見た時にも思ったけど、「一人二役」って今本当に自然にできんのね。もちろんそれなりに苦労された結果なんだろうけど(特典映像に詳しい解説あり)。共演の永作博美も「いいの、それで?」って思うような行動を取るんだけど、「この人ならまぁいいか」と思わせる説得力溢れる演技で良かったです。今後にも期待。前作「アカルイミライ」が全然ダメだった私には「キュアー」に続く傑作でした。「キュアー」と同じく「やりたいことをすれば人は救われる」というそういう映画です。何度も言うけど真っ黒なブラックですけど。

*1:「回路」で幽霊を触っちゃった時とか。