A&A2

「オウム側から見た日本」というコンセプトのドキュメンタリー映画「A」「A2」レンタル。森達也監督朝日新聞とか雑誌で「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見て「がっかりした」というコメントを出してます。ドキュメンタリーといっても両者はかなり趣きが違っていて、「ボウリング〜」はドラマ的な演出がかなりある(あれだけ評判になった原因もそこらへんにある)のに対し、「A 」「A2」においては、演出というとたまーに音楽がかかる位。悪く言うと、ダラダラ撮影したビデオをメリハリなく編集しているだけ。ある結論に対して、見る者を誘導するのではなく、色んな人達の率直な意見(というか雑談に近い)をただそのまま流しています。

じゃあつまらないのかというと、そんな事はなくて、何度となく繰り返される広報の荒木さん(「A」における実質的な主人公)とマスコミや警察のやり取りは、冷静に聞くと明らかに後者の言動の方がおかしい時がありますし、また反対派の住人と仲良くなってしまった信者の映像(マスコミも撮影しているがTVには流れない)などはかなり衝撃的でした。色々と考えさせられるシーンは他にもたくさんあります。

ただ、荒木さんの言動がいくら理路整然としているとはいえ、やっぱり根本的なネジがどっか弛んでいるとは思うし、少なくともオウムに対して同情はしません。あの中の数名は、また「何かをやれ」と上から指示されたら、間違いなくやる(実際そういう受け答えをしている)でしょう。死生観が(少なくとも自分とは)違うせいか、「人の死」に対してどこか真剣になれていない部分は間違いなく感じます(松本サリンの被害者と話す時も、どこかヘラヘラしてるし)。

でも、反対住民と信者が仲良くなった映像には、少なくともある種の希望を感じました。あの信者は間違っても、あの町に何か迷惑をかける事はないと思う。そういう解決法だってあるって事ですかね。