『アナと雪の女王』のエルサと『シニカル・ヒステリー・アワー』のシーちゃん


※『アナと雪の女王』のネタバレはありませんが、できれば観賞後にお読み下さい。


玖保キリコが小学生の日常を描いたマンガ『シニカル・ヒステリー・アワー』にシーちゃんという女の子が出て来る。シーちゃんは見た目は地味なんだけど(実はドイツ人とのハーフ)、クラス委員でしっかり屋さん。みんなから頼りにされ、その期待に完璧に答えてくれる縁の下の力持ち。


↓「ギョギョームください」と言ってるのがシーちゃん


そういう「頼られる人」というのは、往々にして「頼れる人」がいないので、人知れず苦悩することが多い。そんなシーちゃんをあまりに皆が頼り過ぎた結果、彼女が皆の前で泣き出してしまう回があった。その結果皆が反省するのかと思ったら、主人公ツネコちゃん(自分勝手で空気読まない)は事もあろうに「目にゴミでも入ったの?」と聞く。そして、シーちゃんは「やだ、私泣いてるみたいw」と言って皆を笑わせるのだ。誰よりも優しく誰よりも悩んでいる彼女があまりにも不憫過ぎて読んでて泣いてしまった。


そんなシーちゃんには誰にも言ってない夢があって、それはアイドル歌手になること。いつの日かヒラヒラのドレスを着てスポットライトを浴びて歌ってみたい。でも自分が(クラス内において)そのようなキャラではない事を自覚しており、決して他人に打ち明けることはしない。


アナと雪の女王』のエルサを見て思い出したのがこのシーちゃんだった。エルサは色々な事情があって、本当の自分を隠して生きてきた。そしてさらに色々あってこれまでのしがらみを全て捨て去り、一人で生きていく決心をする。それが本作の最大の山場と言っても良い「Let It Go」のシーンだ。そこにいるのは責任感が強く、いつもオドオドして必死に皆の期待に答えようとする従順な女性ではなく、自分に正直でヒラヒラのドレスを身にまとい自信に溢れた最強の「雪の女王」だった。その時のエルサの凛とした美しさにとても胸を打たれ号泣しました。ここからどうなるかは観てのお楽しみ。


↓エルサ(建前バージョン)


↓エルサ(本音バリバリバージョン)


ところで、『シニカル・ヒステリー・アワー』には、登場人物が大人になった後日談を描いた『くるくるシニカル』という続編がある(現在は単行本1巻が出たのみで連載は止まってます)。ツネコちゃんやキリコちゃん等おなじみのメンツが登場するのだが、なぜか主要メンバーだったシーちゃんは(少なくとも1巻には)登場しない。実は小学校を卒業したシーちゃんは皆と別れてから誰もが知ってる有名な歌手になっていて、でも芸名で見た目も変わったので誰もその事に気がついていない、なんて想像してます。シーちゃんがエルサのように本当の自分を見つけられてたらいいなーと思ってます。



くるくるシニカル―帰ってきたツネコちゃん (花とゆめCOMICS)

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