映画に魔法を、人生に魔法を - 『ヒューゴの不思議な発明』

1930年代のパリ。駅の時計台にひそかに住む孤児の少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)の唯一の友達は、亡き父が残した機械人形だった。壊れたままの人形の秘密を探る過程で、彼は不思議な少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)とジョルジュ(ベン・キングズレー)に出会う。やがてヒューゴは、機械人形にはそれぞれの人生ばかりか、世界の運命すらも変化させてしまう秘密があることに気付き……。


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川崎で娘と一緒に『ヒューゴの不思議な発明』3D吹替版を観ました。ちょっとだけネタバレ含みます。


まず3Dがとても効果的に使われていたオープニングに興奮。今回は娘の強い希望で最前列で観た(1番前が1番飛び出すから、だそうです)ので、首は痛かったけど確かに迫力はありました。願わくばIMAXの高解像度で再体験したいです。


事前情報をほとんど入れずに観に行ったので、キテレツ君がコロ助を、アナキンがC-3POを作ったように、主人公ヒューゴが機械人形を組み立てる話だと思っていたら何にも「発明」しなかったので拍子抜けでした。これ、原作のタイトルが「The Invention of Hugo Cabret」で、確かに直訳すると「ヒューゴ(カブレ)の発明」になるけど、Inventionには「発見」という意味もあるので、そちらの方がニュアンスは近いかもしれません。


本作は映画に初めてギミックを加えることで「魔法」を生み出したジョルジュ・メリエスを、最新式の映画ギミックである3Dを使って讃えるという壮大な試みがなされています。私自身はメリエスというと、有名な『月世界旅行』くらいしか知らなかったので、この機会にと調べてみたら面白い映像がたくさんあって驚きました。最近だとミシェル・ゴンドリーが視覚効果を駆使した面白い映像をたくさん作ってましたが、その感覚にとても近いと思いました。


↓これとか最高!


そして、偉大なる先駆者を讃えるだけでなく、少年少女を主人公にすることで、この魔法を次世代へと繋ぐように作られています。少女役のクロエたん演じるイザベルのキュートさったらもう堪りませんね!


↓このシーンの多幸感といったら...


ラストはイザベルがこの物語を小説にしようとして終わりますが、実在のメリエスの孫娘は「魔術師メリエス」という本を執筆したそうなので、彼女がモデルになってるのかもしれません。


あえて言うと、駅にいるサシャ・バロン・コーエン演じる公安員や花売り、犬を連れた女性といった脇役がもう少しうまくストーリーに関わってきてたらさらに良かったと思うんですよね。最後無理矢理まとめた感がちょっと気になりました。個人的にはヒューゴが住んでいるあの時計の裏から、駅舎に向けて映画を上映し、それがきっかけとなって各脇役達に変化が訪れる、なんて展開を期待したんですけどね。


あと、劇中でサティの「ジムノペディ」が流れるんですが、私の中では瞬時に『その男、凶暴につき』が浮かんでしまって、若干不穏な空気が漂いましたw。オススメです!



(参考)
20世紀の魔術師〜ジョルジュ・メリエスの魔法映画〜

10 Classic Films You Must Watch Before Seeing Martin Scorsese's 'Hugo'


ヒューゴの不思議な発明 公式ガイドブック

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The Invention of Hugo Cabret: A Novel in Words and Pictures (Caldecott Medal Book)

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ユゴーの不思議な発明(文庫) (アスペクト文庫)

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魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯

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ジョルジュ・メリエスの月世界旅行 他三編/映画創世期短編集 [DVD]

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