『文化系のためのヒップホップ入門』を読みました
- 作者: 長谷川町蔵,大和田俊之
- 出版社/メーカー: アルテスパブリッシング
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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長谷川町蔵さん、大和田俊之さんによる『文化系のためのヒップホップ入門』を読みました。めっちゃくちゃ面白かった!100回くらい、「なるほど!」とヒザを叩きました!
この本の中に「ネイティヴ・タンは面白く聴いていたけど、ギャングスタ・ラップで挫折したという人はけっこう多いはずなんですよね」と書かれていたんですが、これが丸っきり私のことなんですねw。それもあって非常に興味深く読みました。これまでのヒップホップについて書かれた本って、ちょっとマジメ過ぎて堅苦しいという印象があったのですが、本書は適度にユルさがあって、でもどの本よりも真実に近い説得力あふれる内容でした。
あまりにも面白かったので、本書からいくつか抜粋を紹介します(こういう引用もヒップホップっぽいよね。違う?)。
ヒップホップをロックと同じように音楽だと思うから面白さがわからないのであって、「ヒップホップは音楽ではない」、そう考えれば、逆にヒップホップの面白さが見えてくるんです。
もともとニューウェイブの延長で「新しいロック」としてヒップホップを聴き始めたので、途中まではヒップホップに進化や洗練を求めていたんです。でも途中でこれは違うなと。
パーティーの目的は、ハークの妹が新学期に着る洋服代を稼ぐためだったそうで、ヒップホップはジャイアンのジャイ子への愛から始まったんですよ。
(アフリカ・バンバータのことを)喧嘩が強いのに文化系。番長なのにじつは手芸部だった『湘南爆走族』の江口洋介みたいですね。憧れます。
ヒップホップっていうのは要するに、「新古今和歌集」であって、「万葉集」時代に蓄積されたものをどう発展させていくかっていうゲームなんですよ。
(ビースティーボーイズについて)問題児の彼らがキャピトルにすんなり移籍できた理由が面白くて、キャピトルの社長がマイクDのお母さんの顧客だったんですよ。「あの人の息子さんなら安心だ!」安心じゃねえよ(笑)。
政治的なメッセージが、「金が欲しい」より高尚って考えるのはロック的な考えであって、政治に怒りを覚えることもあれば金が欲しいと思うこともあるのが人間じゃないですか。
(パブリック・エネミーとデ・ラ・ソウルについて)僕は、ヒップホップの歴史において彼らは異端だと思っているんですよ。彼らはヒップホップのゲームに参加するより、ヒップホップを音楽ジャンルとして発展させようとしたからです。
(パブリック・エネミーについて)彼らのコンセプトは「もしドラ」ならぬ「もしクラ」なんです。「もしラッパーが、クラッシュみたいな政治的メッセージを訴えるグループを組んだら」。
(パブリック・エネミーとデ・ラ・ソウルについて)学生運動を引きずった放送研究会と、ノンポリでサブカルっぽいマンガ研究会(笑)。
どーですか?すごく興味を惹かれませんか?本書は全7部で構成されていて、抜粋したのは2部までです。ヒップホップが好きな人にも、逆にどうしてもヒップホップの面白さが分からないという方にもどちらにも強烈にオススメ。