破壊的で迷惑なドラえもん - 『メタルヘッド』

聞いていて不快な音楽やポルノグラフィー、そして焼けたふんを地面にたたきつけることがお気に入りの一風変わった男であるヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。ある日、自動車事故で母親を亡くしたばかりの少年TJ(デヴィン・ブロシュー)と、その父ポール(レイン・ウィルソン)のもとで暮らすことになったヘッシャーは、親子にとって特異な存在であったが……。


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渋谷で『メタルヘッド』観ました。


平たく言うと、お母さんが事故で死んじゃって、ショックで立ち直れない父&息子の家にメタル好きの怪しい男が勝手に転がり込んで来るという話です。つまり『ドラえもん』等でおなじみ「居候モノ」ですね。


メタルヘッド』のテーマ

こんなことイイな できたらイイな
あんな夢こんな夢 いっぱいあるけど
(中略)
「いじめっこに仕返ししたいなー」
「そいつの車を燃やしてしまえ!殺せ殺せ、全員殺せ!」


ジョセフ・ゴードン=レヴィット扮するこのメタル野郎ヘッシャーは、ドラえもんみたいに秘密道具を出すわけでも、オバQみたいに一緒に遊んでくれるわけでもなく、ただひたすらに破壊的で迷惑なだけ。さらに『ブラック・スワン』に続いて薄幸女を演じるナタリー・ポートマンも巻き込んで滅茶苦茶にしていきます。


このトンデモ設定自体はかなり魅力的で、JGLの好演もあって前半はかなり盛り上がったのですが、それ以降話があまり転がらなくて次第にテンションが落ちてしまいました。ヘッシャーの破天荒な行動に対して、周りの人達が最初は迷惑そうに思っていたのに徐々に感化され...、って流れになるのかと思ったら、いつまでたっても「ただ迷惑なだけ」でした。あれー?


そして最後の最後になって、急に取ってつけたような「いい話」にまとめられてしまったようで、ちょっとモヤモヤ。もっとベタにメタル男と少年に友情が芽生える、という展開の方が良かったのでは?


ヘッシャーというキャラクター自体は何からも縛られていない自由を象徴しているように思えるし、どん詰まりの中で生きている多くの現代人にとって非常に魅力的ではあるけれど、映画の中ではその魅力があまり活かせているようには見えずちょっと残念でした。


(その他)
・TJが赤いパーカーでチャリに乗るオープニングは良かった。
・ナタポーのあの扱いはちょっとヒドくないか?自虐的すぎる。