読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

不憫な弟の逆襲 - 『アンダルシア 女神の報復』

スペインとフランスに挟まれた小国アンドラで、日本人投資家の殺人事件が起こり、パリにいた外交官・黒田康作織田裕二)が調査に乗り出した。しかし、遺体の第一発見者、銀行員の新藤結花(黒木メイサ)は何者かに狙われ、インターポール捜査官の神足誠(伊藤英明)は捜査情報を隠そうとする。そんな中、黒田に最大の危機が訪れ……。


オフィシャルサイト


川崎で『アンダルシア 女神の報復』を観ました。面白かったです!あの『アマルフィ 女神の報酬』の続編ということで、素行の悪い兄を持つ弟のような存在の『アンダルシア』ですが、それゆえ期待値が非常に低かったことは事実です。しかし「思ったよりも」とか「前作よりは」とつける必要なく純粋に面白かったです。


今作は織田裕二扮する外交官黒田と、黒木メイサ扮する銀行員新藤、伊藤英明扮するインターポール神足の3人が主な登場人物で、彼らのスリリングな駆け引きが映画を引っ張っているといえます。


この3人は立場こそバラバラですが、それぞれ過去に何かしらの裏切りに会ったり、他者を信用できなくなったりして、組織やコミュニティから孤立してしまった者という共通項があります(黒田の過去はほとんど不明ですが、『アマルフィ・ビギンズ』においてテロで邦人が死んだことの責任を不当にかぶせられたことを示唆する場面がありました)。また黒田は外交官、神足は警察官として、巨大な組織の一員として行動すべきか、個人の考えを優先すべきかどうかについて常に葛藤しています。


ちなみに彼らが最初に出会う場所はフランスとスペインの間にある小国アンドラです(人口わずか7万人)。アンドラは独立国家であるものの、フランス大統領とスペインのウルヘル司教が国家元首を務めたりと、両国ともに深い関係にあります。このようにフランスとスペインという大国の一部のようであり、かつどちらにも属せない独立した存在というのが彼らと重なる部分があって興味深かったです。


アンドラの場所(小さい!)


そんな彼らが時には衝突したり、協力しあったり、友情や愛情のようなものを育んだと思えば、だましたり、裏切ったりしていく様は非常に見応えがあります。正直言って織田も黒木も演技派とはいえませんが、良くいえばポーカーフェイス、悪くいえば何を考えてるのか分からないところが、今回の役所にマッチしてとてもいい効果を生み出しています。特に黒木はかなりの当たり役だと思います。


また今作では伏線が数多く張り巡らされていて、そのほとんどは見事に回収されていきます。伏線回収がいい映画の条件とは思いませんが、終盤ヒザを叩きたくなるような怒濤の展開があり、とても興奮しました。


中盤に起きるカークラッシュシーンも非常に出来が良かったですし、アンダルシアに向かう列車のシーンから繋がる空撮はとても素晴らしく、劇場で観る価値が十分にあると感じました(『アマルフィ』の空撮はピンボケでがっかりでした)。


まったく欠点がないとは思わないし、今年一番の傑作とまではいいませんが、少なくとも入場料金分は十分に楽しめる全うな作品であることは保証します。なるべく先入観を捨てた上でお楽しみ下さい。


(参考)
破壊屋_アマルフィ 女神の報酬

まさか、こんな形で「派手なこと」が起こるってことだとは(ヘンな日本語) - アンダルシアはアマルフィの続編ですよ 日和


↓今読んでますけど、映画とかなり内容が違うっぽいです。
アンダルシア

アンダルシア