スペインホラーの挑戦 - 『ロスト・アイズ』

姉(ベレン・ルエダ)の首つり死体が自宅の地下室で発見され、双子の妹・フリア(ベレン・ルエダ)は、姉の死は自殺ではなく、他殺ではないかと疑いの目を向ける。調べてみると、彼女には恋人と思われる男がいたらしいが、誰も男の姿を見たことがないという。やがてサラの周囲でえたいの知れない不穏な人影がチラつき始め、同時に彼女の視力も徐々に失われていき……。


オフィシャルサイト


渋谷に『ロスト・アイズ』を観に行きました。


ギレルモ・デル・トロ製作のホラー映画といえば、傑作『永遠のこどもたち』(大大大好き)がありました。今作は監督こそ別人(ギリェム・モラレス)ですが、主演が同じベレン・ルエダということもあり期待して観ました。


前半は、徐々に視力を失いつつある主人公の回りを「誰かが(何かが)」うろつき始めるのですが、これらの描写が少々現実離れしていることもあり、観客はこの映画が超常現象を扱ったスーパーナチュラルものなのか?それとも明確な犯人がいるのか?と混乱するように作られています。このあたりは神隠しのように消えてしまった息子を探し続ける『永遠のこどもたち』を彷彿とさせて非常に楽しめました(&怖かった)。


そして後半、一気に犯人は誰?というフーダニットな流れになるんですが、出て来る登場人物がどつもこいつも怪しいヤツばっかなんで、「こいつだったか!」と思ったら実は...というどんでん返しな展開が延々続いて行き、正直途中でダレてしまいました。


また「こいつが犯人だ!」という決定的な場面が過ぎてからも、だらだらと話が進んだり、おびえてるくせに1人で家に戻りたがる主人公の行動に疑問が多かったりするところはいただけなかったです。肝心の犯人についてもちょっと拍子抜けで、前半のあの雰囲気からのギャップが大き過ぎました。


それでもクラシカルでこじんまりとした雰囲気や、ラストで「全てが丸く収まる」に決してならないところ等、私の考えるスペイン・ホラーのいい面がたくさんあったのは良かったです。何よりも大監督であるギレルモ・デル・トロがこうやってスペインの若手の監督にチャンスを与えていることにグッと来ます。


永遠のこどもたち』ほどの傑作ではありませんでしたが、夏だしそれなりに怖さも味わえていいと思うのでオススメ。


↓こんないいシーンもあるよ


永遠のこどもたち [DVD]

永遠のこどもたち [DVD]