ストーカーじゃない、ただのディープ・ラブだ - 『making of LOVE』

自主映画に起用しようとしたゆかり(藤代さや)が、男たちとの性的関係を録画していると知った監督のフルサワ(古澤健)たち。そのビデオテープの中に映っていたフルサワの知人は、ゆかりのことを覚えていないという。そしてゆかりとかかわりを持った男たちを調べるうちに、フルサワはゆかりが宇宙人ではないかと疑問を持ち始め……。


オフィシャルサイト


古澤健監督の新作『making of LOVE』(監督とヨシキ所長のトークライブ付)をポレポレ中野で観ました。


古澤さんとは飲み会で軽くお話したことがあるものの、実は監督作品を1本も観たことなかった(すいません!)ので、Twitterでカミングアウトした上で『オトシモノ』DVDを観ました。中盤までは割と想定内なJホラーと思ってましたが、ラスト10分のビジュアルにはびっくりさせられました(トークライブでヨシキ所長も同じことをおっしゃっていた)。


そして新作の『making of LOVE』。あらすじを聞く限りでは、非ホラー作品で、テーマが「愛」。モキュメンタリー的な作りで、監督自身が劇中の監督「フルサワ」を演じるという構造に、正直「内輪受けな自主制作映画」?という不安はありました。


確かに「フルサワ」を演じる監督自身はちょっとどうかと思うくらい画面に登場しますが、その自虐的ともとれる身勝手なキャラクター描写がとても優れていて、監督出演シーンはほとんど笑えました。古澤監督のことを知らなくてもこのキャラクターは十分に楽しめると思います。


ストーリーも劇中の「フルサワ」が行う主演女優(熱演!)に対するストーキング行為と、「すごい映画を撮りたい」という強過ぎる思いが交錯し、二転三転四転し予想がつきません。ラストの口あんぐり具合は『オトシモノ』の比ではないので、ぜひ劇場で確認して下さい。


劇中のフルサワ監督、トークライブでの古澤監督、飲み会で頼んでもいないのにドM話をする古澤さんが、私には『インセプション』の夢の三層構造のように見えて面白かったです。オススメ。


(その他)
・監督出演シーンはかなり多いのですが、これでもかなりカットしたんだそうです。監督曰く「編集で自分ばっかり見てたら気持ち悪くなった」。
・そんなわけで劇中のフルサワ監督はかなりダメダメな大人だったりしますが、そんな彼が1度だけ「心の叫び」をあげる場面は印象的です。結局マジメなんですよね。


オトシモノ [DVD]

オトシモノ [DVD]