都会のゾンビと田舎のゾンビ - 『サバイバル・オブ・ザ・デッド』

突如よみがえった死者が人々を襲い地獄と化した世界、元州兵のサージ(アラン・ヴァン・スプラング)率いる一行は、安全な場所を求めさまよっていた。ある時、死者がよみがえることのない安全な島があるという情報を得た彼らは、疑いつつもかすかな望みをかけてその島へ向かうことに。しかし、何とかたどり着いた彼らを待ち受けていたものは……。


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ロメロ御大の『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』の正当な続編、もしくは主人公を替えたスピンオフである本作。


今回は小さな島を舞台に意見の対立する2人を軸とした「他者を受け入れるのか?」という、シンプルでえらくスケールが小さい、でも普遍的なお話。前作同様、『ランド・オブ・ザ・デッド』のようなお金をかけた大作ではないので、大量のゾンビが襲ってくるようなスペクタクル性は皆無。だけど、このくらいの規模の方がロメロ自身が映画を好きにコントロールできる上限だと思うので、これで正解。


人間ドラマとしても面白いのがロメロのゾンビ映画の特長だけど、肝心のゾンビも面白い。都会のゾンビさんは用事がなくてもショッピングモールに行っちゃうが、田舎のゾンビさんは何と馬に乗る。「ゾンビは生前の行動をなぞる」と言われるけど、オレがゾンビになったらやっぱり映画館に行っちゃうのかな?あ、ゾンビに囲まれて映画館に逃げるって面白いかも?


正直途中までの展開はやや凡庸かなと思って観てたんだけど、クライマックスのあるシーンでびっくり!こういう底意地の悪いブラックなジョークはやっぱりロメロ。このペースであと二作はがんばってゾンビ映画を作って欲しい。


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