この映画自体が悪夢だ!- 『エルム街の悪夢』
エルム街の若者たちは一様に悪夢にうなされていた。赤と緑のストライプのセーターに顔のやけどを隠すフェドーラ帽、鉄の爪を持つ男(ジャッキー・アール・ヘイリー)の夢だった。ある日、夢を見た若者の一人が現実の世界でも殺されてしまう。殺人鬼から逃れるには眠ってはいけないと気付いた彼らだったが……。
今さらリメイク版『エルム街の悪夢』の感想です。つまらなかったです!
ネット上でも散々な評判だったけど、オリジナル版のファンとしてはやはり自分の目で確かめねばと思い劇場へ。いざ始まったらオープニング・クレジットが今時カイル・クーパーの劣化コピー(しかもコンビニのコピー機で100回コピーしたくらいの)だったので、開始早々にがっくし。
監督はニルヴァーナのPV等撮ってたサミュエル・ベイヤー。この10年、スパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリーががんばって「PV出身だっていい映画作れるんだぜ」という流れを作ってきたのに、もう台無し。
しかも肝心要の新生フレディ・クルーガーの顔が爬虫類っぽくて超かっこ悪い。
そして体型もなで肩で弱っちくダサダサ。シルエットだけ見ると全然強そうに見えない。『ウォッチメン』のジャッキー・アール・ヘイリーがフレディをやると聞いた時は期待したんだけどなぁ。
リメイクの意義はさておき、せっかくのリブート企画なんだからこれまでとは違うフレディー像を見せるというのは全然アリだったと思うけど、監督の「こういうのが作りたい!」という意志がまったく伝わってこないのが問題。
数年前の『フレディVSジェイソン』だとロニー・ユー監督が「双方のファンが納得できるように」と、過去シリーズを研究しまくって奇想天外なプロットを作ったし、ロブ・ゾンビ監督版の『ハロウィン』も、オリジナルへのリスペクトを出しつつも、よりハードコアな残酷ホラーへと仕上げたりしてきた。
それらと比べると本当に中途半端としか言いようがない出来で非常に腹立たしい。冒頭からいきなりフレディ登場して若者が殺されるんだけど、人物相関図とかまったく分からないから「今の誰?」にしかならない。本当に夢の中で襲われるのか?親や警察が言うようにただの妄想や集団ヒステリーなのか?そのどちらか分からないように進めていかないと緊張感が生まれないよ。
オリジナル版を知らずに、しかもふだんホラー映画を観ない人にとっては、この程度でもそこそこ面白いのかもしれないけど、オリジナル版はこの比じゃないから!そこんとこよろしく!つか、もう一回リブートしちゃえよ!
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