Mattaku Wakattenai-「MW」

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16年前、ある島の島民全員が死亡した事件は政府によって隠ぺいされるが、二人の少年が奇跡的に生き延びた。その一人でエリート銀行員となった結城美智雄(玉木宏)の裏の顔は冷酷な殺人鬼で、神父となった賀来裕太郎(山田孝之)は結城を救済しようと苦悩する。そんな中、16年前の事件の鍵を握る「MW」を手にした結城は世界滅亡をもくろむ。


チネチッタで観て来ました。


事前に読んだレビュー。

☆ゼロ
本作のような作品を「映画」と名付けて世に出すと邦画全体の質の低下を招く.個人的には規模対効果を考慮した出来の悪さで「真夏のオリオン」と共に2009年度ワースト候補を争うが,両作とも玉木宏が主演という点が皮肉だ.

http://d.hatena.ne.jp/madogiwa2/20090714

 だが、深い失望を味わうことで人間的な成長を遂げたい人にとっては『MW-ムウ-』が一番だ。たったの1800円で、これほどの後悔と、本作を選んでしまった自分への嘲笑気分を味わえる逸品はめったにない。

超映画批評『MW-ムウ-』20点(100点満点中)

“早すぎた原作”の映画化として観るのは不可能だけに、玉木のプロモーションビデオとして観るのがいいだろう。

MW ムウ : 映画評論・批評 - 映画.com

テレビ局映画が酷いのにはもう驚かないが、あの『MW』がこうなったかと思うとやはり気が沈む。玉木宏の雰囲気自体はよくハマッていただけに残念だ。

「俺の邪悪なメモ」跡地

『MW』は『どろろ』より幾分マシになっているが、それでも根幹を成すありとあらゆるものが削られてしまっている。特にモラルが欠如した純粋悪の結城がいわゆるただのテロリストに成り下がってしまったのはやはりいただけない。

2009-07-02 - くりごはんが嫌い


ふだんならここまで酷評が多い映画を好き好んで観に行くことはないが、「MW」となれば話は別だ。恥ずかし気もなく言うが、「MW」は私自身がいつか映画化したいと思い続けた作品なのだ。ただのおっさんである私に映画が撮れるはずはないんだけれど、それでも私の夢を奪ったことには違いない。


「中途半端な出来だったら容赦しねえぞ」という気持ちで向かった映画館で私が観たものは...、これ以上ないくらい中途半端な映画だった。


何から何まで原作通りにしろとは言わない。今作でいけば「結城が賀来を助けた」という設定になっていたり、新たに石田ゆり子演じる新聞記者が登場したりしていたが、それも悪くはない。タイでアクションシーンを撮るのだって別に構わない。


絶対に変えてはいけなかったのは、結城と賀来が「強い絆」で結ばれて「愛し合っていた」ということだ。これは「同性愛」のシーンを描くべきだという単純な話ではなくて、そうしないと結城の暴走を止めることができない賀来の行動に説得力が生まれないからだ。実際映画での賀来はただの結城のパシリにしか見えない。


一番腹立たしかったのは、後半ボートから落ちた賀来を結城があっさり見捨てたこと。映画版では結城は賀来のことを「便利なオモチャ」としか思っていない。


これが原作の結城だったら死にもの狂いで賀来を探したはずだ。「世界なんか滅亡しても構わない」と思う結城にとってただ1つ残された人間的な感情が「賀来への愛」であり、子供さえも平気で殺す結城が唯一涙を流すのは賀来が死んだ時だけだからだ。逆に結城が死にそうな時は、賀来は身を挺して彼を守ろうとする。この2人の絆こそが「MW」の全てと言ってもいい。


今作の結城を「悪」、賀来を「善」と捉えるのも正確ではない。何度も言うが結城は「モラル」がない子供のような存在であり、善や悪という概念自体がない。強いていえばMWこそが「悪」であり、賀来はその「悪」から彼の魂を救うために奮闘しているのだ。


これは私の持論だけど、原作が始まったのが76年なことを考えると、「MW」とは手塚治虫版の「エクソシスト」(日本公開74年)ではないかと思う。悪魔につかれた少女リーガンを結城、彼女を救うために自ら犠牲となるカラス神父を賀来と考えれば両作品に共通点は多い。原作のワンシーンに「悪霊パズズ」と思われる絵すらある。さらに犬が登場するあたりは「オーメン」(日本公開76年)も彷彿とさせる。


悪魔なら殺せるが、それが子供の姿をしたり、自分が愛する存在だとしたら殺せるのか?この葛藤が「MW」を深く面白くしているのだ。


話が少しずれた。「中途半端」と書いたのは主演の玉木宏が決して悪くなかったので、「もうちょっと何とかなったんじゃないか?」と思えてしょうがないからだ。まぁ他にも「誘拐されたバカ娘が殺されようが知るか」とか「タイでの追跡劇が『フレンチ・コネクション』の劣化コピーにしかみえない」とか「米軍基地に乗り込むシーンの子供たちの扱いがテキトー過ぎる」とか「結城にはもっとヘラヘラ笑いながら女子供を殺して欲しかった」とか「音楽がダサい」とか色々あるけど、...もうちょっと何とかならなかったのか?


私の夢を奪って、しかも滅茶苦茶にした監督はもう二度と映画撮るな。撮るのは「明日があるさ THE MOVIE 2」だけにしとけ。


MW(ムウ) (1) (小学館文庫)

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