ヒッチャー(2007)

ヒッチャー [DVD]

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大学生のグレース(ソフィア・ブッシュ)とジム(ザカリー・ナイトン)は、ニューメキシコのハヴァス湖へドライブへ出掛けることに。その途中、土砂降りの雨に見舞われた2人はヒッチハイカー(ショーン・ビーン)に遭遇するが、走り去ってしまう。しかしその後、立ち寄ったガソリンスタンドで同じヒッチハイカーと再会し……。


スターチャンネルHVで見ました。マイケル・ベイが絡んだリメイク作品として、「テキサス・チェーンソー」は(オリジナルと比べさえしなければ)それなりに面白かったので、個人的に思い入れが深い「ヒッチャー(1985)」のリメイクも少しだけ期待してましたが...、全っ然ダメでした。ただの「頭のいかれたヒッチハイカーにカップルが襲われる」だけの映画になっていた。ただのサスペンス映画ならそれでもいいけど、「ヒッチャー」はそれじゃダメなんだよ!


(以下、オチまで書きますのでご了承下さい)


例えば、ヒッチハイカーを乗せるくだり。オリジナル版は主人公の青年が「話相手が欲しかった」ので自分の意思で乗せるのに対して、リメイク版はあまり気が進まなかったが乗せざるをえない状況になり乗せる。結果は同じでも「自らの意思で乗せた」ことが重要なのだ。


どちらも「見知らぬヒッチハイカーに執拗に追われる恐怖」を描いていながら、オリジナル版はサスペンス映画というよりも一種の不条理劇になっている。理由はどうあれ、そのきっかけを作ったのは青年自身であって、彼は望む望まないに関わらず、「男を止める」という運命を受け入れざるをえなくなる。


リメイク版のラストでは女は男を倒し殺された彼の敵を撃つ。凡庸な復讐劇でしかなくまったく面白みがない。


対してオリジナル版では信じられないほどひどい目に会いながら、青年は「わざわざ」男の元に戻って対決する。それは復讐するためではなく「男を止める」運命を受け入れたからだ。リメイク版では狂ってるのはヒッチハイカーだけだが、オリジナル版は青年がその狂気を受け入れるからこそ面白い。まるで「キュア」の役所広司萩原聖人のように*1


青年は男を倒すがそこに爽快感はない。ただ「男の狂気」を受け入れてしまった青年の苦悩だけが残る。見ている方も「もやっと感」だけが残る。でも「面白い」ってそういうことでしょ?


その他
・個人的に「見せない恐怖」よりも「見せる恐怖」の方が好きだが、例の「トレイラーで引っ張っちゃって××」シーンは「見せない恐怖」(見せられなかった?)の方が何倍も怖かった。


CURE キュア [DVD]

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*1:「キュア」では役所広司は逆に元気になるのがさらに怖い。