「WALL・E」を観る前に観るべき映画その3-「街の灯」

街の灯 コレクターズ・エディション [DVD]

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街角で花売りをする盲目の少女は、なけなしのコインで一輪の花を買ったチャーリーを金持ちの紳士と誤解してしまう。チャーリーは、この誤解をきっかけに、少女を助けようと懸命な金策に走り回ることになる…。


はてなキーワードによると「WALL・E」は、

WALL・E/ウォーリー
PIXARの2008年公開CGアニメーション映画。
製作総指揮はジョン・ラセター
監督・脚本は「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントン
ストーリーはチャップリンの「街の灯」がモチーフになっている。
(以下、略)

と書いてある。

そんな訳で久しぶりに「街の灯」を鑑賞。個人的には「マルクス・ブラザーズ」が好きなので同時代の「チャップリン」は優等生的なイメージからあまり積極的に好きではないんだけど、改めて見たら諸々面白かった。

以下、ネタバレ含む。


無実の罪で逮捕されたチャップリンが刑務所から出所すると、花売りは彼から受け取ったお金で無事手術を行い目が見えるようになっていた。薄汚い浮浪者である彼を哀れんで彼女が小銭を渡した時、彼こそが「金持ちの紳士」だと気がつく。


映画はここで終わる。


若くて純粋な人が見たら「このあと2人は結婚して幸せに暮らしました」と続くと思うのかもしれない。しかし40間近のおっさんには、彼女の表情は「あなただったのね!」ではなく「マジかよ、よりにもよってお前かよ...」に見えてしまう。

彼女を傷つけまいと「なんちゃってー嘘ぴょーん」と言って立ち去るチャップリン。「そうよね、気のせいよね。やべー、信じちゃった」となかったことにする花売り。その後彼らは出会う事なく、チャップリンはのたれ死...って想像しかできない汚れきった大人とは私のこと。

ハッピーエンドともバッド・エンドとも解釈可能な絶妙なラストには素直に感心しました。


それはともかく「WALL・E」。

日本版オフィシャルサイトの「ストーリー」には

薄汚れた長靴に入った"ヒョロっとした植物"を見せた瞬間、イヴは突然フリーズしてしまう。

と書かれています。「街の灯」がモチーフというのを考えれば、

WALL・Eは必死でフリーズしたEVEを救う。しかしその結果、EVEは記憶を失いWALL・Eのことを忘れてしまう。そして再びWALL・Eはひとりぼっちに...

なんて、悲しいストーリーになるのかもしれない(泣)。ちなみに日本のキャッチコピーは

ずっと「ひとりぼっち」だったから ずっと「いっしょ」に、いたかった・・・

「いたかった・・・」って何だよー!!!


あんなロリコン*1がどうなろうと知ったこっちゃないが、WALL・Eには幸せになって欲しい(現実と映画の世界を混同してますが無視して下さい)。


WALL・Eは自分の名前くらいしか言語を発しない。だから彼は身振り手振りで感情を表したり、他者とコミュニケーションを取る。つまりパントマイムだ。そしてパントマイムといえばチャップリンが有名。このあたりもチャップリン映画の影響を受けてるのかもしれません。


このシリーズはもうちょっと続きます。

(参考)
「WALL・E」オフィシャルサイト日本版

「WALL・E」を観る前に観るべき映画その1-「ハロー・ドーリー」
「WALL・E」を観る前に観るべき映画その2-「サイレント・ランニング」