PORTISHEAD / Third

Third

Third

音楽はほとんどiTunesiPodで聴くようになった。Macにスピーカー繋いでるのでそれなりの音質で聴けるし、何といっても簡単楽チン。CDの棚で延々背表紙見つめて探す必要もないし、ディスクを入れたり出したりすることもなし。シャッフル再生にして有線放送みたいに流すとかCDでは無理。それ以前にステレオにはテレビやDVDプレーヤーが繋がっているので、家族が使っていることが多い。そんなわけで、わざわざステレオで音楽を聴くことはほとんどなくなってしまった。

だけど、時々「これはステレオで聴かなきゃダメだ」という音楽がある。このアルバムがまさにそう。

"CD PLAY"を押した途端に銀盤に封じ込められていたモノがドドドと溢れ出した。

深海の暗い暗い奥底をゆるゆると徘徊し、夜の闇の化学プラント工場に走る管のようにテラテラと重く輝き、枷から解き離れながらも逃れられない、ドクドクと流れる赤く黒い血。震えた。

ただただカッコイイと痺れることしかできない。

リズムの刻み方が好きだ。ガツンと撃たれどよんと旋回しひゅるりと持っていかれそうになると、変容し、ブツリと振り落とされるそのイケズさが。

既に遠い過去である90年代後半ならではの音、が現在00年代〜更に過去へ戻って80年代〜70年代そして原始へと繋がっているのだな、そんなことをポーティスの音から感じるとは10年前は考えたことがなかった。

ヘッドフォンで聴いちゃ駄目だ。部屋いっぱいに空気を震えさせて音像を立ち上がらせ、充満する見えない煙をからだ全体の皮膚で享受しなければ。

Portishead/Third - 音甘映画館


えーと、何も補足することありません。名盤、名文。