非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎

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親類も友人もなく、雑役夫として働いた病院と教会のミサを行き来するだけの貧しい生活を送った孤高のアウトサイダー・アーティストヘンリー・ダーガー。 1973年にその生涯を閉じた後、彼が40年間暮らしたアパートの部屋からは「非現実の王国で」と題した15,000ページにも及ぶ小説の原稿と数百枚の挿絵が発見された。人々から注目を浴びながらもベールに包まれた彼の生涯と創作の秘密に、アカデミー賞監督ジェシカ・ユーが迫る。

シネマライズで鑑賞。「非現実の王国で」はヴィヴィアンガールズ達「キリスト教軍」と、「子供奴隷制」を持つ「グランデリニア」との永きに渡る戦いを描いたものですが、最後に「キリスト教軍」が勝利するシーンがあり、その次のページでは逆に「キリスト教軍」が敗北するシーンもあるらしい。これは何を意味するのか?

敬虔なクリスチャンだったダーガーが、その想いの強さゆえに、同時に神を冒涜する言葉も吐いていたという話を聞いて、妙に納得してしまいました。「可愛さ余って憎さ百倍」。そのアンビバレントな感情が、少女にも向けられていて、愛おしいと思う気持ちと同時に「腹を切り裂いて内蔵を引きずり出したい」程の憎悪が混在していたのかも、とか思いました。

それはともかくとして「動くヴィヴィアンガールズ」の映像はかなりのインパクトがありオススメです。ダコタ・ファニングたんのナレーションも予想以上の衝撃。どういう意図でキャスティングして、どういう意図で引き受けたのかさっぱり分かりませんが、「インパクトを与える」意味では多いに貢献しています。