28週後


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人間を凶暴化させる“RAGEウイルス”の猛威が収まり、復興計画が始まったイギリス。スペイン旅行中でウイルスの難を逃れたタミー(イモジェン・プーツ)とアンディ(マッキントッシュ・マグルトン)の姉弟は、父親のドン(ロバート・カーライル)と再会を果たす。しかし、感染を逃れたドンには子どもたちに言えない秘密があった。

以前見た「28日後」のDVDをレンタルし前日に見直してから、翌日のAM9:20の回を見てきました。朝早起きしてゾンビ映画観に行く人がいるのか?と思ったら意外にいたのでびっくり。
以下、少しネタバレ含みます。

私の好きな映画のパターンの1つが
・良かれと思ってやった事が全て裏目に出てしまう(代表作「復讐者に憐れみを」)
で、もう1つが
・家族の絆が描かれる(例「ファインディング・ニモ」)
なのですが、「28週後」はその2つを兼ね備えていて自分にとっては強烈過ぎる映画でした。

父親ドン(実はこの名前がラストの伏線になっている)がゾンビ(正確には「感染者」)に襲われそうになった妻アリスを見捨てて逃げてしまうシーンから映画は始まる。結果的にこれが全ての悲劇の発端になってしまうのだけど、あのシチュエーションなら逃げてしまってもしょうがない(つか、オレなら確実に逃げる)。ドンは少なくとも卑怯者でも悪人でもない。再会できた子供達にも(詳細は話さないまでも)正直に打ち明ける。父親だけでも生きていて良かったと安堵する子供達。

そしてここから負の連鎖が始まる。母を慕う気持ちが発端となり死んだと思われたアリスが見つかる。そこからウィルスを防ぐ可能性という希望も見えてきたが、同時にウィルスの再発を招く原因になってしまう(この再発のきっかけもまた「家族の愛」ゆえ)。ネズミ算式に増えるゾンビを軍(もちろん世界の警察、米軍)が射殺始めるが、途中から一般人との区別がつかなくなり「全員射殺」(その後ナパーム弾で丸焼き)と方向転回。このあたりイラク戦争をあからさまに皮肉っていて好印象。でも観ている方はダウナーモード全開。

そんなこんなでゾンビだけでなく軍からも追われる事になったドンとアリスの子供達。そしてある理由で自分の身を犠牲にしてでも彼らを守ろうとする同行者達。ここのロンドン中を使った追いかけっこは緊張感抜群。そうして救ったかけがえのない希望が最後に××××して口あんぐり。なーぜーだー!いくらゾンビ映画といってもここまで後味が悪い映画はそうそうないよ。前作「28日後」や「死霊のえじき」のように「悪いヤツが最後に倒される」といった高揚感はなく、あるのは「あの時こうしていれば...」という後悔の念だけ。

最後に娘が父親に向かって放つ言葉で一瞬ドンの脳裏に浮かぶのはあの時見捨ててしまった妻の顔。空しいねぇ...。

P.S 「人間ドラマなんかどうでもいいからもっと切株が見たい!」という人でなしな方の為に「ヘリコプターのローターでゾンビ数十人一気殺し」という見事な人体破壊シーンがあります。素敵!