サイボーグでも大丈夫


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精神科に入院中の青年イルスンは、新しい患者で同じ年頃のヨングンに興味を抱く。彼女は自分がサイボーグだと信じ、食事の代わりに電池を舐めていた。心配したイルスンは、彼女を助けるために世話を焼くようになる

「復讐三部作」のパク・チャヌク監督最新作は「ラブコメ」?と聞いて期待と不安が渦巻く中、新宿武蔵野館で見て来ました。
復讐者に憐れみを」に代表される「少ないセリフ」、「痛みを感じる強烈なバイオレンス」、観る者の心を逆撫でするような「救いのないストーリー」に感銘を受けた自分のような人間が劇場に集まってるのかと思ったらそんな世界とは縁もゆかりも無さそうなおばちゃん達がほとんどでした(おそらく主演の「Rain(ピ)」目当ての韓流スター好き)。そういえばココ新大久保(コリアンタウン)近いもんね...。
で、本題。本作は確かに「ラブコメ」「ファンタジー」で全体的にユル〜い空気が流れてるんだけど、舞台が精神クリニック(「ドグラマグラ」みたいなお庭もあった)で主役の2人も周りの人達もほとんど精神を病んでいるので、現実世界と彼らの(何でもアリな)妄想世界が交互に出てくる。この妄想世界がとても自然でかわいくてコントとしての面白さに溢れていてとてもいいのだ。「セリフではなく画で魅せる監督」としての魅力がここで大爆発。これをやりたいが為に「精神を病んだ人達」という(便利な)設定にしたんじゃないかなーと推測。そんなラブリーシーンの合間に「指から出たマシンガンで全員皆殺し」なんてバイオレンスシーンを韓流ファンのおばちゃん達がドン引きする位、キッチリ執拗に撮ってたりしてそのあたりのバランス感覚も面白い。
個人的には主役の「ピ」(これ人の名前か?)の演技が違和感があって素直に好きになれなかった部分もあったんだけど、パク・チャヌク監督のコメディ演出という新たな才能を堪能できて良かったです。この人かわいいものと残酷なものがどっちも好きなんだろうなー。勝手にシンパシー。
しかし関東でこの1館しか上映してないなんて...。ちょっと寂し過ぎないか?