親切なクムジャさん

http://www.kumuja-san.jp/
怖い。怖すぎる。この映画を「怖い」という人は少ないかもしれないけれど、私には怖かった。


スプラッターとか痛い描写に関しては完全に不感症なんで(「殺し屋1」程度ではビクともしません)全然平気なんだけど、あの「廃校での一夜」がたまらなく怖い。自分のダークサイドを鏡のように見せられた気がする(「ザ・ワールド・イズ・マイン」でも同じネタがあったなぁ)。


いくら「ミュンヘン」とかで「復讐する行為の無意味」を説いたところで当事者にとっては絵空事なんだよね(国家と個人の違いはあるけどさ)。もし自分があの廃校にいたとしたら必ず参加しただろうし(もっとひどいことをしたかも)。


この映画が凶悪なのはああいう「人間の業」を突きつけるだけでなく、それらを基本的に「ブラックジョーク」として演出しているトコ。笑っていいんだか怖がっていいんだか分かんないじゃん。その点においては(意外なことに)「ミュンヘン」も同じなんだけど。


しかし映画のタイトルが「親切な〜」ってブラックすぎ(これ原題知らないんだけど直訳なのかな?)。同じタイプの怖い映画に黒沢清の「CURE」があるけどこっちのタイトルは「癒し」。「アレ」やって癒されるってどうなのそれ。アンモラルすぎっしょ。


「廃校での一夜」をひとまず置いて見ても変なトコ多い。シーンごとに演出が異なってるから一貫性がない(オーストラリアのシーンとか浮いてるし)。「オールドボーイ」見た時もそう感じたんだけど今回は「こういう監督」と分かっていた分混乱しなかった。


とにかく他人にオススメはできない映画でした。特に自分みたいに小さい子供が居る方にはキツい。映画としてはよくできていると思うけど、見るんなら覚悟して見た方がいいですよ。