コロンバイン・ハイスクール・ダイアリー

amazon.co.jp)読了。

映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」(オフィシャル)や「エレファント」(オフィシャル)はどちらも事実を脚色した箇所がありノンフィクションではなかったので(例えば「ボウリング〜」にあったように、事件の朝に犯人2人組はボーリングはしていない)、コロンバイン高校の事件について実際には何が起きたのかを知りたくて読みはじめましたが、すぐに私がこれまで読んできた実録殺人本の類い(第三者がまとめたドキュメンタリーまたは被害者、加害者の家族による回顧録など)ではないことが分かりました。

この本の作者のブルックス・ブラウンは「ボウリング〜」でマイケル・ムーアと一緒にKマートに「銃の弾丸を販売するのを中止するように」直談判に行った3人のコロンバイン高校卒業生のうちの1人で、さらに「エレファント」の主人公といえる金髪の青年ジョンのモデルになった人です(彼は映画同様、襲撃直前の犯人から「お前のことは好きだ、だから逃げろ」と言われて助かった)。

犯人の親友であり、同時に被害者の何人かは友人でもあった彼は、「自分が事件を止められたのではないか?」と悩み、評論家の「暴力的なゲームや音楽による悪影響論」に否を唱え、警察から長期に渡り共犯者扱いされた疑いを晴らすために戦い、そしてこれから何ができるのかを考えます。加害者や被害者と同じ目線でものを見て感じてきた彼の言葉は他の誰よりも説得力に溢れ、同時に悲しい気持ちにさせられます。

事件の背景にはジョックス(運動バカ)からのイジメ以外にも宗教的な確執もあったようで(犯人は被害者を撃つ前に「神を信じるか?」と聞いている)、非キリスト教徒だったブルックスもキリスト原理主義者から「神を信じない者」として差別を受けていたらしい。そんなブルックスを受け入れてくれた数少ない1人がレイチェルという女性で、ブルックスは彼女のことを他のキリスト教徒達とは違う特別な存在と考えていた。しかし(よりにもよって)彼女は彼の親友によって殺されてしまう。そんな彼女についてのブルックスの話と、巻末の解説に登場する彼女の両親の話は泣けます。ちょっと私にはマネできそうにありません。

アメリカでも日本でも現実はヘビーだし、ぶっ殺したいヤツの1人や2人がいて当然の歪んだ世の中ではあるけれど、なるべく人は殺さない方がいい。私の10倍殺人話が好きで、ディスカバリーチャンネルの殺人ドキュメンタリー番組を録画してDVD-Rを作り続けている(気がついたら10枚を突破してた)嫁さんも番組見る度に「いや、やっぱ殺人は良くないね」って言ってるし。